アマ・プラ・ドラマ・「ジェイン・エア」

日本語表記では「ジェーン・エア」だっけ?

この原作は古の英文科女子大生だった私の課題図書で何度も読んでいる。

ドラマはもうちょっと原作に忠実に長めにしてもよかっただろうにと思うものの、

ジェインがルース・ウィルソン、ロチェスター氏がこの度初めて知ったが、

なんとマギー・スミス様の令息、トビー・スティーブンスという豪華キャスト、

そつなくまとまっている。

ロチェスター氏が原作よりイケメンであるのは

ジェインだって美人なんだから仕方がないか。

あと数年で還暦を迎えるおばはんの目から見ると原作は、

超あまあま・少女小説に近いものがあるな、と、

マイダーリンに頼まれてしぶしぶ見た「ブリジャートン家」もこの系譜ではないかな。

原作は不幸てんこ盛りの中、激しい性格のジェインは成長して立派に自立し、

就職先である資産家の当主に見初められ結婚することになったものの、

その当主は実はまだ妻が生きていた!というとんでもないお話で、

生真面目なジェインをひっかけるためにロチェスター

わざと高慢なブランシュお嬢様といちゃついたりして、

「性格悪いなー、ロチェスター!」と、こんな男とでもないと貧しい娘は

結婚がなかなかできない、資産がなければいわゆる紳士階級の男性とは

結婚できなかった当時の事実に今と変わらぬ価値観を見出すのでした。

そもそもあまり資産がないとはいえ、ある程度の後ろ盾のあるブランシュお嬢様では

さすがに狂人となった妻の存在を隠して結婚することはできない、

ロチェスター、性格めっちゃ悪い説を思いついて、ううむ、原作には穴がある!などと

英国文学界の至宝!とされるブロンテ姉妹の作品をくさすのでした。

ジェインはなかなかの恋愛至上主義で結婚が破棄になった後でさまよっていたところを

拾ってくれた美形聖職者のセントジョンに「君は伝道者の妻に向いている!」と、

アタマがよくて丈夫そう!というだけでアフリカに伝道に伴うためだけに求婚されて

「愛がなければ結婚できない!」と断ってしまうのは、まあ乙女チック。

たいていの女性ならば「どんだけ美形とでもアフリカで伝道生活は嫌」が

断る理由だろうに、ジェイン、そこを嫌がらないのはやはり伝道者の妻に向いてない?

と、原作内では「セントジョンは素晴らしい人格者で美しいので

いつか私は彼を愛するようになるだろうけれど、彼は私を決して愛さない

(なぜならセントジョンは面食いで実は好きな美人がいた)のできっと不幸になる」と

原作ではジェインは決して美貌の持ち主とはいえず、便宜上、大切にされても

愛されることはない!ときっぱり断じていたりするのが面白い。

夫婦間の強い結びつきは「愛」のみである!とロマンチックであるなあ。

人間、お互いが便利な存在であると愛情とはいえないまでも愛着はわくので

それはそれでよくないか?と考える私は昔読んだ頃より年を取ったなと

しみじみしたのでした。

まあ、男の面食いは治らないからな。ジェインの選択はあながち間違ってもないか。

と、汚れ切った年寄りのアテクシはこのありがたい名作を別目線で眺めたのでした。

若かりし頃に読んで感動した作品を読み直すと、

今の自分では違うものが見える(気がする)のは面白い。

年を取るのもなかなか。おわり。