大国のドラマは面白い。

かのチャン・ツィイー様主演の中国ドラマ「上陽武」にはまっている。

(「武」はもっと難しい字だが、出し方がわからん)

とにかくお金が有り余ってます!のスケール感がすごい。

すべてにおいて贅沢、筋に乗れなくとも目の保養になる。

その筋というのがやはり大国というのはあっけらかんな雑な作りが得意というか、

「出てきたー!」と思ったら次の回では「死んだー!」になったりして、

思わせぶりな大物感を漂わせつつすぐいなくなるので侮れない。(?)

アメリカのドラマも、ロシアのドラマも無数に作られてある程度出来の良いものが

日本に入ってくるのだろうが、ストーリーのその場しのぎ感はなかなか日本にはない。

それでいながら「これでもか、これでもか!」の毎回、危機にさらされながら、

どんでん返しにどんでん返しで無理やり物語が進む、

こういうのって日本ではできないよなあ、日本は「伏線回収」を求められているしな。

この大・中国のドラマは、架空の国の架空の時代の原作はベストセラー、

読んでみたくなってきたわ、「この人、だれ?」ってのがあるからな。

(で、だれかわからないうちに殺されてしまったりする。)

チャン・ツィイー様は10代半ばからの年齢設定はさすがに無理があるとはいえ

やはりお美しく、演技力があるので説得されてしまう。

とにかく、美貌と知性と勇気にあふれた高貴なお姫様である。

今までの筋をざっくりいうと、皇帝の妹の娘に生まれたチャン・ツィイー様が

無邪気にすくすくとお育ち遊ばし、幼馴染でもある皇帝の3人息子皇子にも愛され

その中の一人である「したん兄さま」と恋仲になるものの、

宮廷の陰謀家である父親に勢力を伸ばしてきた身分の低い将軍に嫁がされてしまう。

で、この将軍は、往年のジャッキー・チェンの上位変換みたいなお顔立ちで

なかなかのイケメン、反発しつつもやがて愛し合うように、、、と

こう語るとまるで「なんとかロマンス」だけれども、

ロマンス部分よりも帝位をめぐっての陰謀が次々に発生するので冒険譚味が強い。

「そう来たか!」「そう来るか!」の実に素早い展開で右往左往するので、

うっかり見逃すと何をやっているのかさっぱりわからなくなる。

合間合間にロマンス部分もはさまれて、あんなに「したん兄さま」だった姫君が、

世間を知ってだんだん「愛と恋」に純粋無垢なまま成長のない「したん兄さま」が

嫌になってくる。

浮世離れした優しい「したん兄さま」は姫が宮廷で捕らわれたー!と聞くと

姫君のもとに駆け付けたりするが、「そんなことをされても何の役にも立たない!」

「もし本当に愛しているなら外にいて私を外に出す手配が出来たのに!」などと

常識がない王子様だしなあ。しかたがあるまいよ。

とにかく姫君の成長著しく、半面、かつての初恋相手のだめぶりが際立って面白い。

良かったね、こんなのと結婚しなくて、

なーんておばはんにうんうんうなずかれたりするので脚本も上手い。

さて、皇帝の座はどこに行くのか、だれが味方でどう動くべきか、

現在の皇帝とかつて帝位を争った弟も唐突に出てきたりして、いやはや。

でも、基本的にはやはり雑ドラマ。それでも魅せる。

恐るべき、大国の底力。ほかの中国ドラマも見たくなった。おわり。