映画感想・「エノーラホームズの事件簿」

ネットフリックスはオリジナル作品を激押しするが

アイリッシュマン」が「?」だったように、

他作品も「、、、」なので期待せずに見た「エノーラホームズの事件簿」。

元々は劇場公開作品だったのがコロナの影響で公開できず

ネットフリックスがオリジナルとして買い取ったせいか出来は良い。

原作が児童小説らしく家族で楽しめるつくりになっている。

フェミニズム映画か、と思わせて実はかつて英国の婦人参政権活動家が

かなりの過激派であることにも触れているのでなかなか皮肉が効いている。

婦人参政権のためならば、テロも辞さず!の極端な考え方は時代を超えるか。

フェミニズムが良き時も悪しき時もかわらず、

私は自分をフェミニストと自覚しているので時代背景の正確さは大歓迎。

「エノーラ」は女の子の成長・冒険譚としても、ミステリとしても秀逸、

ホームズシリーズのスピンオフとして面白い。

主人公のエノーラが美人過ぎないのも良い。

母親役のヘレナ・ボナム・カーターがホームズ兄妹の母親やらしく

個性的なのも良かった。

ヘレナといえば、かつてはいかにも英国作品らしい「眺めのいい部屋」で

「エノーラ」時代の少しあとの若い女性の成長譚で有名になったもので、

その後、ティム・バートンとパートナー関係を長く続けて特異な役が多くなった。

この先、まだまだ化けそうな楽しみな女優さんでもある。

ホームズものといえば、私は「聖典」と呼ばれるジェレミー・ブレット様の

シャーロック・ホームズ」を愛してやまないが、

この10年ほどに製作されたホームズ物はテレビドラマも含めてどれも秀逸。

ベネディクト・カンバーバッチマーティン・フリーマンを世界に届けた

「シャーロック」シリーズも米国で製作された「エレメンタリー」も

3作目の発表が1年延期されたロバートダウニーjrのシリーズも面白い。

スピンオフもので私が記憶している一番古いものは

「ヤングシャーロック・ピラミッドの謎」でこれは今みても楽しめる。

「エノーラ」と同じく成長譚でもあり、スピルバーグが製作に関わっているので

昔のCGでもよく出来ている。

ところで今回の「エノーラ」でもシャーロックの兄、マイクロフトが

どこかいやな奴と描かれてこれは英国流、政治批判の系譜かと思う。

マイクロフトは体制側の番犬であるように原作で描かれているせいか、

弟のシャーロック、妹のエノーラにとって無理解で迷惑な兄と描かれ、

「シャーロック」「エレメンタリー」でも扱いがひどいが、

私は「シャーロック・ホームズ2 シャドウゲーム」で

弟シャーロックの理解者として体制側であってもそこそこ協力的な

柔軟性のある兄のマイクロフトのほうが好みだ。

弟と同様に奇人、変人ではあるけれど。

「エノーラ」に話を戻せば、お気楽に楽しめるので、星は5つ。

エノーラのよき友(?)となる若き公爵役の俳優さんが美形で、

ここも、英国美男子輩出所として押さえは完璧。

おわり。