「あの子は貴族」の映画を見て原作を読んでみたけれど、うーん、という感じ。
多分原作を先に読んでいたら映画は見なかったな。
映画は細かな情報が少ない分、「あれ?」と思うことがない。
原作は細かく書き込んでいることがいちいち「はて?」となることばかりで
今一つ乗れない。ただ、原作でも細かく描かれ映画でもお雛様を飾るシーンになって
その場面は豊かさと貧しさを対比するためなので、お雛様の質を上げてほしかった。
しょぼいお雛様だったわ、低予算映画だったか、ロケ場所が高くついたか。
門脇麦ちゃんでなかったら見なかっただろうな、俳優さんは大事。
ブレイディみかこさんの「ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー」を読んで
面白かったので別の作品「子供たちの階級闘争」を読んでみた。
なるほど、「ぼくはイエロー」の方はご自身のお子さんのことを扱うので
だいぶんまろやかに気を使って書かれているようだ。
「ノンフィクションというよりはエッセイでは」と文庫版あとがきに書かれて
私は一種の子育てエッセイとして読んだので
「ノンフィクション」ジャンルとは思わなかった。
ただ「これはノンフィクションエッセイという新ジャンル」になるそうで
その言葉が最もしっくりくる。ブレイディ氏はうまい書き手だ。
興味深く読めたのが「子供たちの階級闘争」のほうでブレイディ氏と私はほぼ同世代、
そして同じ英国在住の日本人女性文筆家と言えば再々ツィッターで話題になる
某「めーろま」氏もいるものの、ブレィディ氏を読む前に、
実は「めーろま」氏の著作本も借りて読んだけれど、
彼女の本は1冊読んでも入ってきた情報は3行程度、
繰り返し出てくる「私は横浜出身の父も祖父もエリート家庭出身」だけだった。
あれほど言葉を並べ立てても、結局は自身を広告しているのみという
いかにもネット時代の人であるなとある意味感心した。
が、もう本を読むことはあるまい。
ブレィディ氏より彼女の経歴が明らかにキラキラではあるのは
こうも無内容なことを書き連ねる才能に満ちているからか、
ブレィディ氏は福岡生まれで様々な紆余曲折を経て現在に至っているが
横浜育ちを一種のステイタスであるかのごとく繰り返すめーろま氏よりは
よほど知性と洞察力に恵まれている。その違いに驚かされた。
しばらくブレィディ氏の著作にはまる予定。星は今のところ2冊とも5つ星。おわり。