話題の本の感想。「「神様」のいる家で育ちました。」

以前、はてなで話題になっていたのは知っていたがノータッチだったので

どういう内容で騒がれたのか、まあ販促活動の一環とみているが。

正直な話、読んだ感想は、タイトル自体はタイムリーではあるものの、

基本的には家庭内、主に夫婦間の断絶が子供に影響を及ぼした話で、

宗教が様々な軋轢のトリガーになったのは確かかもしれないが、

必ずしも宗教だけが悪だとも思われない話であった。

突き放した結論を言えば、いまだネットであせぬ威力を持つ「毒母」の亜流かな。

何人かの「宗教二世」を名乗る人たちの体験談で構成されて、その宗教は様々、

入信者が主に母親で、私が驚かされたのが、妻が明らかにおかしな道に進んでいるのに

父親はそれにまともに立ち向かおうとしていない。

宗教とは距離をとっている体ではあるものの、基本的に妻子に無関心、

入信してしまう妻は戦うべき相手を間違っているのがありありとわかる話もあって

「宗教」だけがこのご家庭の問題ではないのがうっすらと透けて見える。

要するにもともと「機能不全」の家庭で育った子供たちのありふれた話で

今は「宗教二世なんです!」と発することにある種の「力」があるが故の

体験談集に思われた。

なんで離婚せんかね?この夫婦、とその関係にあきれてしまって、

申し訳ないが「二世問題!」とまでは思えなかったりする。

実際、宗教からは離れてしまった人ばかりの話なので、

宗教に批判的であるのは多少間引いて考えるべきでは、とさえ思ってしまう。

妻の奇妙な行動に「はいはい、俺はでも冷静だからね」と斜に構えて

自分の妻とかかわる能力のなさから逃げている、

そうした夫に幻滅しながらも「子供のため」などと離婚も選べない自立心のない妻が

いわゆる「承認要求」を求めて宗教に走ってしまった、

これは宗教ではなく、マルチ商法の「〇〇ウェア」や「〇〇ウェイ」であっても

同じことが家庭で起こったであろう、私はそちら側の被害をより知っているので

なぜ、こちら方面が問題に今でもならないのか、不思議に思っている。

子供の友達の家庭にまで「〇〇」を売りつけようとした母親の家庭とその子供は

見事なまでに崩壊しきっている、まだ宗教の方がましなくらいだ。

カルト宗教の高額献金は大いに問題であるが異常なまでにそのシステムにのめりこむ、

そんな人間の心性は宗教ですらも救えない、この人々の心をとらえたのが

たまたま宗教なだけであって、出会ったのがマルチでもこうなった、

「宗教二世」問題というよりは、精神病気質者を親に持った子供たちの悲惨さ、

そこに視線を集めなければいけないと私は思うが、

今は「宗教二世!」と名乗った方がある種の「権力」が持てるからなあ。

「私ってかわいそう!権力」は強いから。

山上の問題があらわになった現在、「宗教二世!」は無敵であるのかもしれない。

精神病者が親である場合の悲惨には大いに同情するものの、

宗教のみに焦点を当てるのはほかのもろもろをごまかしてしまう向きが

無きにしも非ずなので取扱注意の本であると思われた。

夫は宗教とは距離をとっているくせに子供にはその宗教に行かせる、

これは今話題になっている「ヤングケアラー」問題に思われて

頭のおかしい自分の妻の面倒を子供に押し付けている、そこに私はムカついた。

父親の狡い立ち回りは不思議と大きな問題にならない、

この本の中でも焦点は主に母親にあてられているのが

母親の置かれた立場の悲惨をうっすらと感じさせて気の毒に思った。

まあ、そういう方が本は売れるからね。

ネットで絶賛を浴びるような本ではないかな、星は1~2くらい。

マイダーリンが買わなかったら、読まなかった本だわ。

特におすすめではありません。おわり。