ドラマ雑記。

現在、ネットフリックスの「エージェント物語」にはまっている。

最初はフランス語だしなと乗れなかったが、見始めると面白くなった。

基本はドタバタのコメディでおフランスの俳優を管理するエージェント会社の

癖のある面々があれこれやって何とかなったり、ならなかったり。

フランス芸能界では「エージェント」が俳優の収入の1割(?)を

自分のものにできるらしくゆえに売れっ子をたくさん抱える敏腕エージェントは

高給だったりする。

会社はそれぞれの持ち株であったのが、多くの株式と俳優を受け持っていた代表が

急死することで経営がガタガタ、その後、会社のトップエージェントの隠し子だの、

バイセクシュアルの女性やりてエージェントの、

事務所に監察に来た税理士さんとの恋だのおフランスらしく

常に「アムール」がいっぱい。それに映画製作のドタバタも絡めたりして興味深い。

登場人物の一人一人がとにかく魅力的でどこの国でも俳優さんたちは素敵だ。

現在は第4シーズンまで、私は第3シーズンの3話まで見ている。

今年の日本のドラマで印象に残っているのはもうすぐ最終回の

「晴天を衝け」で、吉沢亮君の好演もさることながら草薙・慶喜の存在が圧巻だった。

200年近くたってようやくまともに慶喜像が語りなおされようとしている。

私は幕末ファンで幕末の好きな人物の中には慶喜がトップ3に入る。

あまりに誤解が多く、気の毒な人物として私の中に存在するが、

これまでの映像世界ではどうしようもなく身勝手なろくでなしとして描かれるばかりで

現在なら名誉棄損ものではないか、

何があったところで、正直な話、武士の社会は終わりだった、

それを無理やりにすべてを「慶喜のせい!」にするのは冷静に考えても無理がある。

私は「〇〇なら勝てていた!」の話は嫌いで、何があろうが負けは負け、

どこをどうとっても幕府側の負けは見えていたのはまともな歴史家ならば

わかっていてもおかしくないというのに、その事実をゆがめる連中が当時にいたのが

慶喜の悲劇だったと私は思う。複雑な育ちで聡明な故に誤解もされ

やるべきことはちゃんとやったのに、全く評価されていない。

鳥羽伏見の戦いで逃げた!」で叩かれるが、逃げて撤収が一番正しいやり方だと

状況を鑑みると私は思う。そしてそれを実行出来た人間は慶喜しかいないだろう。

後に明治政府をまともに機能させたのは慶喜が新たに重用した人材だったのも

先見の明がある。「鳥羽伏見の戦い」をしていればそういう人材は

死滅したかもしれない。慶喜は好きなだけ叩いてよい存在ではない。

今回の大河では慶喜像を丹念に描いて、脚本家がしがらみのない女性だからか、

出来るだけ正確にこの悲運の最期の将軍の名誉を少しでも回復するよう

努めている気がした。品の良い諦観を漂わせる草薙・慶喜は素晴らしかった。

慶喜は西洋的個人主義を日本にいながら最初に身に着けた人間だったようにも思う。

私に慶喜愛を語らせれば熱い。「晴天を衝け」の慶喜像には大満足。

ということを語るクリスマスイブの金曜日。

おじいさん、おばあさんは特に何もせず、まったり過ごすのでした。おわり。