ロシアのドラマメモ・その2「貴公子探偵ニコライ」

ロシアのドラマを日本はどこから買っているのか、

配給会社が英語名なので英国経由な気がする。

ロシアと英国は縁が深い。切るに切れない関係が続いているよう。

「貴公子探偵」とは邦題センスに泣けるものがある。

なんとなく「小公子セディ」などと往年の名作アニメ劇場を思い出す。

まあほかに思いつかなかったんだろう、ただの「ニコライ」でも愛想がないし。

ロシアでも「若様捕り物帖」のようなジャンルは人気があるのか、

帝政ロシア下に公爵の身分でペテルブルグにおばさん(?)と一緒に暮らしている

たいそう品の良いイケメン・ニコライが下々の者どもとドタバタ探偵する話で

かつてのロシアは暇なので職に就く貴族が多かったのか、

彼のおばさまが(彼女も女性公爵であるらしい)「外交官なんてどうかしら」と

お勧めしても、本人は「刑事になります!」と能天気に宣言して警察に入る。

このころ、ロシアでは「ピンカートン探偵社」を書いた本が人気だったようで、

(つまりはコナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」モノらしい)

警察では「物事は小説のようにはいきません(メッ!)」って感じで、

ニコライ君をたしなめたりするが、明るいニコライ君は全然平気。

物語全体から見ると「ロシア外伝」のほうが陰鬱で「ニコライ」のほうは明るいが

発現する事件は原始的で「ニコライ」のほうがえげつない。

それでもニコライ君がにこにこ大活躍して事件は緩く解決して、みんな幸せ。

陰惨な事件と雑な展開でもニコライ君が活躍して終息する。

ドラマの面白さは、どちらかと言えば美形を取り巻くおやじたちの魅力が支えて

よちよち歩きの赤ん坊をはらはらしながらじいちゃんたちが愛でているような

 イケメンをキャッキャウフフとおやじたちが持ち上げている感が暖かい。

 ロシアのおっさん俳優は味のある人が多い。

そのおっさん化は「昔のイケメンが年取ったイケメンになりました」ではなく

「普通のおっさん」なのが良い。

アメリカではこういうおっさん化した俳優はいない気がする。この大国の差は何か。

2話で完結する構成で1話が大体1時間、

「貴公子!」が似合う品の良い美貌の持ち主の主人公を演じるのはデニス・ヌルリン。

英語で検索しても情報が出ない。これがロシア人俳優の辛いところ。

小柄でかわいい雰囲気がする彼がドラマ内で時々着ている毛皮付きのコートがお洒落で

「貴族!」って感じがする。コートのトリミングとおそろいの毛皮帽子も素敵。

気楽に見られるドラマなのでおすすめ。言語も1時間なら我慢してみられる。

何となく配給会社が1時間に納めたような気がするが、気のせいか。

ロシア産かわいいイケメンとかわいいおっさんを愛でるドラマ。

おわり。