「売り家」と書いても「唐様」ですらなさそうな。

以前、たたき上げの一代目が起こした事業を2代目が頑張って大きくしたものの

箸にも棒にもかからない3代目が「イケてる俺のコンセプト!」に

店の運営を変えてしまった話を書き残したが、

その「素敵」店舗が1年たたずにつぶれて、涙。もう少し続くと思ったがなあ。

コロナの影響があるのだろうが、今まで利用してきた客を

「もういらない」にしてしまっては続くものも続かんだろうに。

どうしてもっと緩やかに世代交代を目指さなかったかな、この先どうなるか、

親は子供がすることを受け入れるしかない、と手を出さないよう。

正直な話、子供のために良かれと手を出してきたことが

ことごとく裏目に出ているので疲れたんだろう。いい歳だから猛反発されるしね。

緩やかに下っていくと思われたのがものすごく素早くダメになる、

3代目が台無しにする「家業」を先日、もう一つ見つけてしまって、

そこもやはり1代目が創業して2代目が大きくしたところだけれど、

3代目の話が今回見事に店をつぶした3代目とよく似ている。

良い学校に入れてやり、在学中から頼んで某コンサルタントインターンに出し、

それなりの就職先も世話してもらったのに3年持たずに辞めてふらふら。

「東京のコンサル仕込みの俺がこの世界を変えてやる!」と

到底この地元では必要とされていないものばかりを「イケてる俺の店!」

(またこれが華々しく新しい店を妙な場所に建てて次の買い手もつかない物件)に

入れ、「俺は俺の客を選ぶ!」とそれまで長らく利用して金を落としてきた層を

追い払って、先日、噂には聞いていたので一度行ってみるか、と立ち寄ったら、

「何かありそうで、何もない」というか「必要なものは何一つおいていない店」に

なり果てて、コロナの影響とはいえ、客はわたし一人だけ。

さほど欲しくはないものをせっかく来たんで買ってやろうとレジに行っても

店の奥で不機嫌そうにパソコンを眺めている若い店主は私を無視。

かわりにどこからか飛んで現れたいかにも実直な番頭のような爺さんが

平身低頭でレジを打ってくれたが、確かこの方は別部門の責任者で

大昔にほかの場所でお世話になったことがあったのをうっすら思い出す。

この年齢で、できの悪い3代目の面倒を見ているのか、

客を無視するような店主をこの真面目一本のじいさんがどう世話するのか、

ほぼ後期高齢者が何者でもない中途半端な30代を育てるか、なんだか、辛い。

「何とかヒルズ」のような名前を付けて「ここから〇〇が始まる、、、」と

大々的にタウン誌に広告したが休みの日にたまたま通りがかっても

さほど「イケてる客」が集まってる気配はしない。

3代目のイケてる車がほこりをかぶったようにポツンとあるだけで。

「コロナだから!」をお題目にばさばさ人を切っているので持っている噂も

聞いたりして。コロナの補助金があるので何とか続いている話も。

不動産の資産があるので店をつぶしても本人は食うに困ることはなかろうけれど、

なぜこうも「残念な3代目」は同じことをするのか、

正直な話、それなりの学歴と就職先を力業で親が与えてやったのにもかかわらず、

東京で芽の出なかった人間は地元に帰ってもどうにもならないので

粛々と親の家業を親の言うとおりに継いだほうが賢いような気がする。

これができる人間が、意外にいないよう。

零細企業一族の私の幼馴染いわく、

「親が生きているうちは不動産を手放さないだろうけど、死んだらどうなることやら」

「一度失敗しても全然懲りない人間っているから」と、事業継承の難しさに涙。

 やはり「売り家」となるのかね?

でもその字体はさほど教養もつかなかったようなので「唐様」ですらなさそうな。

とほほ。おわり。