読書記録・美女と竹林 森見登美彦

少し前に英国の庭で日本の竹が増殖して困る、とネットニュースにあって、

いよいよ「森見バンブーカンパニー」の到来かっ!と小躍りした私、、

ではないけれど、森見先生が大好きな「竹林」が時代に乗った!なんて、

要するに「美女と竹林」と言うみょうちきりんなエッセイのような小説のような、

素敵なお話を読んだということ。

やはり森見先生は大変面白い。

森見先生は昔、朝日新聞にて「聖なる怠け者の冒険」なる小説を書かれ、

私が生涯、おそらく最初で最後の毎日読み通した連載であるだろう、

これは家族でいつも楽しみに読んでいた。挿絵も実に可愛かった。

上の娘がその後何冊も森見先生の本を読み、何故かそこから恩田陸に行き着く

不可思議な読書航路をたどったけれど、

私は娘に勧められた有名な「夜は短し歩けよ乙女」が図書館で借りられていたので

何か別の短編集を借りて、それがまた非常に暗くて暗くて、

いい加減うんざりしたのでしばらく遠ざかっていたものの、

ふと、先日「何故、美女と竹林?」と思ったので借りて読んでみた。

いやはや、森見先生の壮大な竹林に対する情熱と野望には感動する。

そしてちゃっかり「美女」である本田まなみさんにもお会いする、

なかなかの策士、さすが京大生、右往左往するフリをして望みは叶える。

話を戻してこの小説のようなエッセイのような作品は2008年に出版されて

連載は2007年ごろなので今から12年ほど前のお話。

森見先生はまだ小説家専業と言うわけではなく、お仕事もされ、

執着する「竹林」伐採に手を伸ばし、いずれ世界に広がる「手乗り竹林」開発の

「森見バンブーカンパニー」、略して「MBC」のCEOになろうと

着々とがんばるお話で、そういえば本の中では現在とっくに「MBC」のCEOに

なってセグウェイでその辺を動かれているはずで、しかも竹林伐採で鍛えた

素敵なマッスルボディーで美女にモテモテだったはずのような、

なんにしても英国の増殖して困る竹林のかわりに「手乗り竹林」の登場だ!

と私は考えたが、森見先生はたいそう謙虚なお方であるし、

現在、ムキムキとはいえないボディでも、それはそれは女子におモテになるので

MBCのCEOになる必要性は感じないのだろうなと思ったのでした。

森見先生の言葉は「軽妙洒脱」の意味をいつも私に思い出させる。

かつて私がこよなく愛した北杜夫のエッセイ文体を思わせて、愛しているのでした。

森見先生の新刊はマイダーリンに買ってもらうかな。

毎度、図書館で借りるのでは申し訳ない。終わり。