映画感想・「ドリーム!」

マイダーリンのリクエストで借りた2本の「女の子、がんばれ!」映画の1本目。

(もうひとつは「キャプテン・マーベル」)

「ドリーム!」は原題が「hidden figures」で、

たぶん直訳すれば「隠された数字(もしくは貌)」かと思われるのだが

どうも日本語訳するのは難しいようで、ありきたりのタイトルになっている。

元はもっと頓珍漢なタイトルだったようで、それは批判があって中止したようだ。

いつも思うのだが、日本の、この手の翻訳のセンスのなさはいったい何故か、

ネイティブに近い日本人も多くなったこのご時勢に

いまだ映画タイトルの馬鹿さ加減は伝統芸かと聞きたくなる。

と言うつっこみはさておいて、映画自体は大変すばらしい。

1960年代のアメリカですばらしい数学の才能を持ちながら

差別と偏見の中で懸命に努力した3人の黒人女性の物語で

ウィキによると大分史実とは違うそうだが、

少なくとも3人の輝かしい経歴は本当のようだ。

有色人種で女性での2重苦を背負いながらもたゆまない努力で

自身の地位を確立していく様は感動的だ。

また、白色人種であってもその能力だけで彼女たちを認めた男性も

おそらくは本当に少なからず存在しただろうことは敬意に値する。

我が家の場合、下の娘が子供時代から不思議と数学的才能を示して

今も女性の少ない分野にいるので様々な思いがけぬ苦労があったりして

それでもこつこつと、何度も人知れぬ涙をぬぐいながら努力しているのを

知っているので、この手の話には無条件で泣ける。

史実とは違うらしいが、主人公の一人が女性用トイレ、

それも「有色人種用」のトイレまで時間をかけて行かなければならない、

それになかなか男性上司は気がつかない、悪気はなくても気がつけない、

男性が多い場所に参加する女性は必ず抱かずにはいられない苛立ちとむなしさ、

それが「トイレにわざわざ遠征すること」でよく示されている。

これが、本当の少数派の現実であることをもっと知って欲しいと私はおもう。

何かと「女ばっかりがひいきされている!」と言われがちだが、

実際は、男性であれば気がつけないような部分で

大きなストレスをかけられていることが多い。

それでも何故、努力が出来るのか、

やはりそれが「必要とされている」からだろう。

大変良い映画なので星は5つ、お勧めです。