なんだかなあ。

はてなのホットエントリに
性産業に従事した経験のある若い女性がその母親とどのような葛藤があったか、が取り上げられて興味深く読んだ。
私は鈴木さんのお母さんの意見に賛同する。
「恵まれた人間がしてはいけないこと」はあるだろう、と思うので。
性産業に従事するとはどうしてもそれでしか食べていけない、本当に人類最古で、最終の職業だと私は考えている。
何も恵まれた家庭に生まれた人間が、しかもそれを人生の最後まで続けなくても良い人間が、やるようなもんじゃないんじゃないか、
私はあまり恵まれた環境で育ったわけではないので、
何世代もその手の仕事で食べている、つまり若くして子供を産んでその子供も同じ職業で、
よぼよぼになってもその手の仕事を続ける人が少なからずいるのを知っている。
そのやるせなさを見ていると、都会のお嬢さんが冒険心で性産業を「やってみました!」なんてぬるさが許しがたい。
一生、その仕事を続ける、自分の子供にもそれを当然のようにやらせる覚悟があるなら、それをしろ、と言いたくなる。
恥ずかしくないの?と言う問いかけは、裸になるとか、不特定多数にセックスを見せるとか、そういうものではなく、
いつでも帰る場所のある人間が、ものめずらしさだけで飛び込む場所じゃない、
それを認識しない、いわばある種の「礼儀」をわきまえることのない、その近視眼的無礼さへのものだ。
そこにしかいられない人たちの場所に「私、こんなに怖いと思われてること、できるんだよ!」とずかずかと踏み込む、
その下劣さを私は「恥ずかしい」と思うべきだと考える。
幸いにして、鈴木さんはお母様のその言葉に深い愛情と教えがあるのを理解する聡明な方のようだが、
どれほど娘のその行為に、母親として、また人間として、傷ついたか、やはり親不孝なことをしていると私は思う。
先日、千葉大学医学部の集団強姦事件についてネットでその後を調べて、私がぞっとしたのは、
犯人たちの一人が泥酔させ店のトイレで強姦した女性が意識を失って倒れている姿を何枚か写真にとったと言う事実で、
彼ははたしてそれを何に使おうとしたのか、あとあとまで女性を脅すつもりだったのか、
集団で強姦することを何人もに募ったにもかかわらず、
「女性との合意があった!」などと主張して控訴しているこの学生はいったい何を考えているのか、
なんにしてもこんな愚劣な行為を「合意だ!」と主張して通ると考える人間を生み出すのは、
「恵まれたお嬢さんだけど、セックス大好き!」みたいなものを異様に大きく取り上げる、この世相ではないか、
私の若いころからこういうものは確かに存在し、30年以上たっても廃れないのは、
結局、世の中は、ある種の「超えてはいけないライン」を守る人間のほうが多いからではないからか、
つまりは、この記事に出てくる「高学歴・AV女優」などと言う存在はありえないなかでもありえない、
その「ものめずらしさ」が受けているのではないか。
その現実を考えれば、泥酔した状態で何人もの知り合いとのセックスを容認する女性なんてほぼ存在しない、
それをもっと宣伝すべきではないか、
正直、彼女たちのように「高学歴でセックスにも奔放な私」で世の中の注目を集める存在は
あまりに男性に都合が良すぎて一般的な若い女性にとって迷惑でしかないだろう。
「私、好きでやってます!」は非常に「レアケース」である現実を、
彼女たち自身でもっと宣伝されることを私は心から望んでいる。
もう「なんだかなあ」としか言いようがない。
しなくて良いことを、わざわざすることは決してほめられることではないのですよ、は常識ではないのかな。