困った人たち(と、本)

マイダーリンは自分が買ったのに読み辛い本を私に「読め、読め」と勧め「ネットで感想を書け」とせっつくことがある。
年末にかけてぎっくり腰にかまけてごろごろしていたとき、促されてしぶしぶ読んだのが
卯月妙子さんの「人間仮免中 つづき」と「おひとりさま出産」第4巻。
人間仮免中」の続編として出された「つづき」は琥珀先生の感想をうっかり先に読んで手をつけかねていて、
「あなたが書かないでどーする?」とまでダーリンに言われて読んで、やはり琥珀先生とほぼ同じ感想を抱くこのやるせなさ。
琥珀先生ほど辛らつな結論を出しはしないが、先生がむっとするのはわかる。
救急車で来て治療をさせないほど狂乱する患者にはほとほと困らされることだろう。
卯月さんのかかっている精神科は内科や外科など別の科との連携はないのかね?
病気のせいとはいえ、これはたまたま受けた病院も大変だっただろう。
さすがにこの本を読むと「病とともに生きるつらさ」より「病を抱える人間を受け入れなければいけない社会」に涙する。
私の実父がアルコール依存を抱えているからかもしれないが。
父の病に付き合って以来私は吾妻秀夫先生の名著「失踪日記」が読めなくなったわ、腹が立ちすぎて。
病に対して情け容赦ない私が抱く疑問は、卯月さんは見ず知らずの他人が自分を罵倒する妄想を常に抱いているが、
その妄想は家族には向けていない点で、それは作品の中だけなのか、それともその段階はもう過ぎているのか、
心の病を抱く人間はまず家族にひどく当たるものなのだよね。
ネットでいわゆる「毒親に育てられた!告白」の何割かはこの手の精神疾患による被害妄想じゃないか、と私は考えている。
作品中でそれをやるともう救いがないから、やめたのかな?そうだとしたら、まだ再起の道はあるのかも。
本としての出来はひどいが、やはりどこかしら魅力のある人なのだよね、故にしみじみ気の毒に思う。
一方「おひとりさま出産 第4巻」だが、これも「トラウマ告白!」なんてのをやってて、
私はこういう「サバイバー宣言!」的なものは嫌いなので感想を書くつもりはなかった。
「悲惨なDVからの帰還!」にしては、時間がかかりすぎだろ!と、誰も思わないのかね?
「おひとりさま出産」自体は決して悪い結論ではないものの、選んだ相手が悪すぎて、なんら悲惨な経験が生かされていない。
そういうのは「隠しておけ!」としみじみ思ったな、何でも告白すれば、同情されるわけではないのよ。
「この人、馬鹿じゃないの?」とは、帰省した学生の娘、
第3巻までは「えらいねえ」などと好感を持って読んでいたというのに
「振り出しに戻ってるだけじゃない、何年もたつのにまったく学習してない!」とわが娘はお金にだらしない男が大嫌い。
私に似たのか、、、(涙)私も実父がお金にだらしない人間なので、「おひとりさま出産」作家の男にむかついて仕方がない。
ぎりぎり金を取り立てて、さっさと手を切れ!が前巻からの変わらざる感想かな。
人生も、男も、ちゃんと選べます。ちゃんと選びましょう。
なんて、マイダーリンに促されてぶつぶつ感想を書いている私の言うことではないか。
2冊とも、特にお勧めではないです。前作のほうをお勧めします。終わり。