日常。

風邪を少々こじらせて肝機能が悪くなっているらしいので、主治医の指示に従ってごろごろしている。
こういうときはテレビがお守りをしてくれるのでありがたい。
で、昨日、久々に「映像の世紀」を見かけて「懐かしい」としばらく見入った。
ベトナム戦争時代のアメリカの映像で、ケネディ大統領の暗殺の映像をこれまた久々に見て、
ノイズの入った状態ではない鮮明なものだったのでより恐ろしかった。本当に脳漿が飛び散っているのだね。
私の祖母がその映像を「ジャクリーヌさんは錯乱してケネディの脳漿をかき集めようとした」と評していたので、
本当のところはどうかわからないが、そうとしか見えなくなる。
祖母は戦争経験者で「異常な状況になると人間は思いがけないことをする」と時々話していて、
このジャクリーヌ夫人の行動もそう読み解いて「かわいそうになあ」と、
敗戦国の片隅に生き残ったばあちゃんがそんな風にアメリカ大統領夫人に同情したのが妙に記憶に残っている。
しかし、そのたった一人の遺児が日本の大使になろうとは!ばあちゃんは生きていたらどう思ったのだろう。
ケネディ大統領の顔を幼き私は「こんな変な顔した人が何でマリリン・モンローみたいな人と噂になるんだろう」と、
幼きころの私は洋画好きのばあちゃんとよく「モンロー」映画を見てばあちゃんの「この人は大統領の愛人だった」という
子供の私に言うにはどうかと思う注釈つきであったのを覚えていて、「アメリカ人は変だなあ」と思っていた。
中年も年季の入った今、映像の中で年下となったケネディを見ていると昔とは違ってその魅力がよくわかる。
無敵の若きアメリカとして世界を魅了した個性だったんだろう、何よりも洒落ているのだよね。
そういう政治家を代表にするアメリカの高揚感が映像から伝わる。
古い国、ヨーロッパよりどれほど豊かになっても、どこか下に見られている、そのアメリカの劣等感を払拭する洗練が若いケネディにはある。
そりゃー、マリリンだってなびくわな、という不届きな感想を抱きつつ、デジタルリマスター版の「映像の世紀」を楽しんだのでした。
私が幼少期、祖母とともにテレビのお守りをしていたのは、体調を崩して微熱があるときだった。
子供に話すにはどうかと思う内容をうちのばあちゃんはあけすけに話してくれたものだったが、
それは大変豊かな時間で、今でも楽しい記憶として残る。
私もばあちゃんのような孫にろくでもないことを教えるばあちゃんになりたいものだ。