「うつくしい」ということ。

先日帰省してきた従妹の2歳の息子が「パパはとてもうつくしい」と言って、「ママじゃないの?」と聞くとふるふると頭を振って「パパがうつくしい」と言う。
どうやら仕事が忙しくてめったに会えないけれど大好きな「パパ」の口癖が「うつくしい」らしい。
いつも何かを「うつくしい」という。だから「パパにはたくさん「うつくしい」がある」を2歳児は説明してくれる。
「あなたもたいへんうつくしい」というと2歳児は大いに納得したようだ。
この2歳児のパパは今話題の堀越二郎の大学の後輩になる。同じような技術職についている。
話は変わって、先日、ヤマザキマリさんの「スティーブ・ジョブズ」のあとがきに、
どう贔屓目に見ても「嫌な奴」でしかない、ヤマザキさんもそう思っているのが絵でありありとわかるアップル創業者を
なぜ漫画にする事になったかが書かれていて、それによると、ヤマザキさんの周囲がジョブズの「すごさ」を語って、
「こういう変人ならよく知っているし」で一旦断った仕事を引き受けた、とか。
ジョブズの伝記を漫画化することを推した周囲にご主人の父親であるエンジニアも含まれていて、たしかこの方も
「うつくしい」を口にするようなことを、ヤマザキさんの漫画で読んだことがある。
フェラーリの開発に関わっていた人だったとか。フェラーリの形は確かに誠に「うつくしい」。
そして「アップル社」の製品はやはり、とても「うつくしい」。
私のはじめてのコンピューターはアップル社の「アイブック」で、一時期、マックの新製品は全て買う勢いだったマイダーリンが勝手に買ってくれて、
可愛くて気に入っていたものの、ご機嫌を取らねば動かぬ強情ぶりに、今は安定したウインドウズを使っている私は、
あの苦労は一体なんだったのか、ダーリンは相変わらずアップル社の製品は「うつくしい」と言っているが
本物のエンジニアでコンピューターの開発に本格的に関わってきた私の兄弟たちは二人共、アップル製品が嫌いで、
未だアイフォンも、アイポッドも持とうとしない。
理由は「不安定な製品は「機械」とは言えない」「機械は「完璧」に「正確」に動いてこそ、「うつくしい」」と、
「エンジニア」「技術者」にとって「うつくしい」とはなんなのか、
「形」のうつくしさ、なのか、完全な機能を「うつくしい」と称するのか。
そして、先日の模試が絶不調であった下の娘は「数学はうつくしい」という。
どうやら「数の世界はうつくしい」という意味らしく、女の子の中では一番、数学と物理ができるので、教科担任の先生に可愛がられていて
特に、クラス担任でもある数学の先生は「数式の書き方が独特で「センス」がある、非常に「うつくしい」解を出します」と
数学に「センス」や「うつくしい」があるのか、これは単に理系の人間の語彙不足による表現の曖昧さなのか、
「うつくしい」の世界は広い、わたしにはさっぱりわからない。
「美はそれを見る人の目の中にある」ということなのか。
なんにせよ、「数」で「うつくしいもの」を作る世界があるらしい、ということを、メモ。