「スマイリーと仲間たち」読了

スパイ三部作の裏テーマがロマンチックなメロドラマであったとは!まるで「トワイライト・サーガ」のような。(読んだことないけど)
とはいえ、大変構成が緻密なので楽しめる。
3部作の評価はやはりダントツに「ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ」、
その次が今回の「スマイリーと仲間たち」で、最後が世間的には評価が高かったらしい「スクールボーイ閣下」かな?
「スクールボーイ」も悪くはないんだけど、やや大味な印象で「ティンカー」のあとに続くものとしては私は物足りなかった。設定は大胆でハリウッド映画並みなんだけどな。
で、今回の「スマイリーと仲間たち」で大団円を迎えて、意外だったのが、最後の最後までピーター・ギラムが主人公ジョージの補佐として登場すること。
もっと端役なのかと思ってたわ。
邦題「裏切りのサーカス」でベネディクト・カンバーバッチ君が演じた役なのでつい注目して読んでいて、
このピーターくんは殺伐とした「サーカス」の中で唯一の「癒し」系、「愛され」キャラとして存在しているんだね、
この果てしない諜報戦の中、救いのない男女関係、夫婦関係の狭間でたったひとり「愛」で成功している男で、
ストレートにロマンチック、素直で正直、愛して愛されて傷つきもする、
全編を通じてそういう存在であるピーター・ギラムをなぜ、わざわざ映画版では「ゲイ」に設定したのか、
いろいろ推測はするものの、ちょっと残酷な気がするなあ、
職業上の秘密以外をほかのメンバーに比べればあまり持たない無邪気な存在をそういう設定にするのは私はあまり理解できない。
この分かりにくい地味な愛の物語で、たった一つの分かりやすい「花」をわざわざ毒入りにすることはなかろうに。
映画の構成はまたそのうち確認することにして、ピーターくんの「愛」の生活は「ティンカー」の時も「スクールボーイ」でも連勝状態で、
最後の「スマイリー」では、なんと「再婚」して「少女花嫁」は妊娠中という、ほかのメンツが妻に逃げられたりしてパッとしないのに比べてなんときらびやかなことか!
「スマイリー」でピーターくんはもう「50の坂」に差し掛かる年齢になっているので、「少女花嫁」(原文ではどうなっているのか?)とは、いくつなのか、
おばちゃん、そういうこと、気になるわぁ、、、なんちゃって。
まあ、40代後半にして20代の奥さんを再婚でもらうという厚かましいことをぬけぬけとやっちゃうキャラなんですよ、
その原作の設定が70年代の英国でゲイである深刻とはあまり一致しないなあ、私の中では。
しかし、最初から出ているメンバーで、少女のまま3人の娘の母親になった妻を持つ男がその妻に馬術教師とともに逃げられるなんていう深刻な話も途中で出てくるんで
ピーター君もどうなるか分からない、か?いや、ちゃんとやっていけそうでもあるか、物語中の「救い」部分だもの。
この3部作は仕事ではパーフェクトな男が私生活ではあまり愛に報われておりません(涙)な物語なので、ピーター君の輝きっぷりは注目、なのでした。
しかし、よく考えてみれば、このピーターくんはイケメンなのよね、対して主人公(たち)は見た目は冴えない小男、
結局「イケメンはモテるけど、そうではない男は仕事が出来てももてません」がテーマだったりして。
おばはんに、スパイ小説なんか読ませるな、ってな話でした。すみません。
で、ピーターくんを演じたベネディクトくんの「シャーロック2」がアマゾンから届いて、大喜び。
お休みは、「シャーロック」三昧します。ぐふ。