おきものがたり。(その1)

うちの地区だけかもしれないが、何故か女の子が18歳になったと同時に「成人式のお着物はおきまりですか?」の広告が入る。
去年は降るほどカタログが来たなあ、、同じ年の娘を持つ知り合いに会うと「もう決めた?」とたずねられ、「まだ」というと「遅いわよ」
成人式の着物についてはなんの考えもなく、自分の時はみんな親に買ってもらっていたなあ、
私の実家は貧乏だったので買ってもらえなかった、でもその「貧乏」を「世間一般の慣例に背くかっこよさ」に置き換える父親が家にいたもんで、
それがよかったか、悪かったか。
ま、なんにしろ私には「自分のを穣る」と言うことが出来ないので、「買う」か「借りる」か、知り合いにたずねたところ「買う派」「借りる派」は半々。
大学に通い始めた娘に同級生の動向をたずねさせてみたところ、これもちょうど半々ぐらい。
私の周囲では聞く相手が悪かったのか、「買う派」とは素晴らしい奥様方ばかりで「地模様から染めの色、柄行きも選んで、、」だとか、
「実家の母が娘が生まれたときから用意する、と楽しみにしていて、、」とか、まるでレベルの違う話になるので、これは「借りる」に限るかな、と、
置くスペースも限られているし、まず、私が振り袖の扱いを知らない、
着物好きのダーリンママに聞くと「和のお稽古ごとをしているわけではないから振り袖を着る機会は少ない」と、
でも、いろいろ話を聞いているとうちの地区では、娘の着物は実家に用意させるのが慣例らしい、
ダーリンママの周囲でも「嫁に行った娘の孫に京都の呉服屋に頼んで振り袖を作らせた」とか、こりゃー、失礼しました、
「自分のは持っていないの?」のツッコミを避けて、さっさと引き揚げる私、、、
いろいろ「持っていない」に呆れられることが多かった20年だったが、ここに至ってもそれが、、と言う大変とほほな状況に。
なんにせよ、「お婆ちゃまが買う」というのは周囲に聞く限りなかなか効能があるようで、まず「お婆ちゃまが選んだものなら孫はまず文句は言わない」
「高いものを買ってやるのに、本人が選んだらとんでもないことを言い出す」「でも「お婆ちゃまがお選びになったのだから」だと納得する」
ふうむ、どこの「良家」でも子どもは言うことを聞きませんな、お値段のはるものは子どもには選ばせないのが良家のしきたりか、
などとよけいな知恵を仕入れつつ、娘にどうするかたずねたところ、着物を「所有」することにあこがれているらしく、
とりあえず、「展示会」なるものに「親子でゴー!」と、
どうするかはっきり決めていないまま、無謀な親子は会場に乗り込んだのでした。(続く)