雑談。

P.D.ジェイムズの「策謀と欲望」を10年以上ぶりに読み返して、こんな話だったか!とあらためて驚く情けないお年頃。
犯人と動機は覚えていたんだけど、背景をすっかり忘れていたわ、恐るべし!中年。
「策謀と欲望」の中には、少々トンデモ系の反原発派の人間や原発占拠をめざすテロリストも登場する。
そして、原子力発電に関わる研究結果を故意に隠蔽(?)しようとするような、なんとまあ、どこの国でも、とまったく驚かされる。
これが22年も前の女性作家の作品とはねえ、、、
そういえば、以前読んだ「神の火を制御せよ」のパール・バックも女性だ、
これは原子爆弾作成に関する話だったが、「神の火」を人間が制御できるかどうか、
それを疑わしく思うのは「男」というものをよく知っている女性ならでは、というべきか。
真新しい「科学」に飛びつくのは男性の方が多いからねえ、まあ、これは「理系」に男性が圧倒的に多いせいだと思うのだが
しかし原子力の元の元になるものを見出したのは、そもそも、女性のキュリー夫人だったかな、
原子力ってなんとなく信じられない、と「感じ」て、それを口に出しやすいのは女性というだけの話か。
「策謀と欲望」の中にはチェルノブイリやスリーマイルの話も出てくる。
いずれ海外作品にもこのたびの「フクシマ」事件が出てくるようになるんだろうか?
今回の「フクシマ」事件に関して、ネットでは宮崎駿の「ナウシカ」がよくたとえ話に出てきていて、思い浮かべることがそれぞれに違うんだなあ、
私は、主人公の「ナウシカ」が健やかに育つまで、何人もの兄弟たちが犠牲になってきた、
つまり、「ナウシカ」の母親は何人子供を産んでも、亡くしてきてしまった話を思い出す。
「母は11人の子を産み育ったのは私だけです。ほかの子は母の体にたまった毒を身代わりに引き受けて死んでいきました」
(ワイド版 風の谷のナウシカ第7巻p119)
「私の生は10人の兄と姉の死によって支えられました。」(同 第7巻p172)
この先、そのようなことが人類に起こるのだろうか?と、ふと考えたりする。
もしそうだとしたら、どれほどの犠牲を人類に強いることになるのか、私には想像もつかない。
ナウシカ」は「母は決して癒されない悲しみがあることを教えてくれましたが私を愛さなかった」と考えているが、
それだけは、ナウシカがまだ若い、本当の「母」になっていない少女らしいなあ、と、おばはんのわたしは思う。
愛することを恐れるほど、深く愛することもあるのだと、いつかナウシカが母親になったとき、気がつくのだろう、
宮崎駿はうまいなあ、と思うのでした。
原子力をモチーフにした小説を、わたしはほかに読んだことがあったかな?また、思い出したら、メモしておこう。