山田風太郎「人間臨終図鑑」

山田風太郎「人間臨終図鑑」を読んでいる。
徳間書店の分厚い3冊組を、「読んでみたかったから」とどさっとダーリンが買ってきて、
でも読む気配なくリビングに転がっているので、私が拾い読んでいると、面白くてはまる。
昼間、実家両親の「老老介護」の手伝いをして、夜、「臨終図鑑」を読むって、なんと悪趣味な、と我ながらあきれるんだけど。
それはともかく、10代、20代の臨終にはじまって、最終は100歳代の面々、
通読していると、若いころはやはり非常にめずらしい病気や、事故、自殺が目につく、
30歳代からは、31歳、32歳、、と続いて、山田風太郎が気になる臨終の人々が山田の生きた時代を反映しているようで、興味深い。
知らない人もいるんだよな、太平戦争時代前の軍人とか、有名な犯罪者とか。
山田風太郎の書き方が簡潔で読みやすく、さすが、大衆文学者(?)って、はて、私ったら山田風太郎の何を読んだかしら、
半村良とごっちゃになっていて、思い出せん、読書日記って大切よね、、、(涙)
この人の戦中日記を永井荷風のそれと同様、前々から読んでみたいと思っているんで、今度、探してみることにしよう。
第1巻は55歳まで、還暦前に死ぬというのは現代では若死にの方だと思うが、山田風太郎的にはどうとらえていたんだろう、
で、第2巻は56歳から72歳まで、第3巻は73歳から121歳の泉重千代
もう80過ぎての臨終は「大往生」だよね、と思うが、案外本人はまだまだ生きる気、満々の人もいたりして、長寿は才能かも、なんて、
しかし、文学者の死に方はろくでもないのが多い、
何故、精神疾患とアル中と浪費癖がセットになってしまうやら、必然的に貧乏もついてたりして、
死にたいのかと思えば、意外に臨終間際には生にしがみつこうとしていたり、死ぬのがこわいなら、まず、酒をやめろよ、と思うが、
やめられないのが、酒というもの、で、様々な文学は「酒」が作り出してきたか、等々。
一定年齢層の男性の死因の一つに「尿毒症」がよくあげられているのが、なんとも不思議。
男性は、前立腺関係の病も多かったりして、「お下」が弱かったりするのかしら、
それとも、取り上げられている女性が少ないだけで、女性も死ぬ間際は尿毒症を患うのかしら、病名の知識がないので、よくわからない。
「お下」と言えば、さすが、山田風太郎、と言うべきか、ちゃっかり、臨終に「下ネタ」もからませていたりして、
斎藤茂吉が師である某氏の「○○が、思ったよりちいさかった」と残したなど、私がその方の遺族なら茂吉を撲殺だわ、
親父心は、永遠、と、楽しめる本をどうもありがとう、山田風太郎、で、その山田風太郎の臨終はいかに、とウイキペディアを見たところ、
パーキンソン病を患われたようで、ふうむ。
死に方として、マシだな、と思わせるのは昔の軍人に多かったりして、ま、勤務中になくなっている人も多いので、そうなっちゃうかな。
芸術関係の死に方は、ろくでもないのが多い、がよくわかる本、山田風太郎はそれが一番、知りたかったのかな、、、
面白いし、すぐ読めるので、暇つぶしにお薦めの本。