「世界のお弁当 心をつなぐ味レシピ55」 服部直美 情報センター

「世界のお弁当事情」をまとめた本で、様々な国の「お弁当箱」や「メニュー」が紹介されていた面白かった。
初めて知ったのが、中国では本来「冷たいごはんを食べる習慣がない」と言うこと、
これは台湾なども同じらしく、確かに「文化」として日本の「お弁当」とは特異な存在なんだとわかった。
「冷えた食事」が「食べられる」かどうか、これは「食事」をどうとらえるかによるのかもしれない、
単なる「燃料補給」と考えているか、あるいは、必要不可欠であるが故に出来る限り「快適」にしたい、
とはいうものの、最近、中国や台湾でも日本式の「お弁当」店もあるようで、
「日本文化の発信」とは、「アニメ」「マンガ」だけではないんだな、とあらためて。世界の至る所に「スシ」屋があるし。
日本にいる世界の人々の「お弁当」エッセイも紹介されて、みんな、日本の「お弁当」文化の多様さ、美しさに「感動している」と、
中でも「日本のお母さんに学んだ、愛情弁当」と題して、中国黒龍省出身の40代女性が日本の学校に通う息子さんに言われて
それまで、「中国式」に簡単なお弁当しか持たせていなかったのを、一念発起して、「息子好みの日本風お弁当を作った」のが興味深かった。
以前、ネットで話題にされていた、(けれどその当時、番組を見ていなかったので詳細はあえて読まなかったからよく知らない)
日本統治時代を話し合う台湾の年配の方々の談話が都合よく「編集されていた」とかのNHK特集を、放映よりだいぶん後になって見て
その中で流暢に日本語を話す台湾人の方が「通った学校では私だけが中国人で、お弁当が中国式、あれが恥ずかしくてならなかった」
「開けたらニンニクの匂いが漂ってきて、隠しようがない、他の日本人のお弁当は、きれいな卵焼きとか、臭わないものばかり」
「私はそんな「文化的ではないお弁当」を作る母親が腹立たしくて、母親に「日本式弁当」を作るように頼んだ」
「何故、自分は日本人ではないのか、と親を恨んだりした」「思えば、本当に母親には申し訳ないことをした」などと、
涙を浮かべながら話していたのが印象に残った。(HDを残していないので、会話はうろ覚え)
思春期の子どもにとって、その「食事」から「文化」が「違う」ことを思い知らされるのは辛かっただろう、
それ以上に「息子のために」と日本人向け学校に通わせた母親が子どもをそんな辛い目に遭わせているのだと知ったとき、どれほど悲しんだか、
たかが「弁当」でしかなくても、毎日の営みであるが故にやるせなかっただろうと、
編集がどうであれ、やはり、「日本の統治は善」は成り立たないと思った。
日本の「文化」の一種の「優越性」を感じたいのなら「嫌韓流」を読まなくても、このような本を読めばいいのに。
「お弁当」から、世界が見える、世界の中の「日本」が見える、「お弁当文化」という「繊細さ」を見直す機会が与えられて素晴らしい。
また、「働く女性が多い国ではお弁当を創る文化がほとんどない」という「事実」、
どれほど、日本の「お母さん」、特に「働く」お母さんが、努力を重ねているか、ありありとわかる、
「共働き」が「当然」の中国では、「お弁当」を持たせるにしても、ごはんの上に「炒め物をのせる」程度、それが「当たり前」で
また、これは以前、確か中国出身の料理研究家「ウーウェン」さんのエッセイに書かれていたと思うけれど、
中国では「お弁当」を用意するのは必ずしも「母親」だけとは限らない、「父親」も「家族」全員のお弁当を用意することもある、などと、
日本の「性意識」の貧困をこのようなことからも感じ取る、最近、話題の「お弁当男子」がんばれ、とか思ったなあ。(関係ないか)
図書館で借りた本だけど、買って手元においてもいい本なので、アマゾンで探してみるかな?
そういえば、エントリにブックマークがつくと何故か「アマゾンの商品が紹介できます」のお知らせがでるようになってる。
「ブクマ」仕様が変わったらしい。確かめないとな。
他にもメモっておきたいことは色々あるけど、この辺で。「世界のお弁当」はいい本でした。おすすめ、と言うことで。