「職業体験」あれこれ。(その1)

数年前から「職業体験」というのを中学3年で実習していて私は何度も「職業『訓練』」
と言ってしまって、娘に
「他のお母さん方もそういってるんだって、でも「職業『体験』」だから」
と冷たくあしらわれている。
じゃあ『丁稚奉公』と呼ぶと言って、いよいよ「なに、それ?」と娘に馬鹿にされる私、、
それでその『職業体験』がどうだったかというと今年は割と受け入れ側の企業から
好評を得たそうだ。去年の子供達が悪かったと言うよりちょっとした行き違いや、
人選ミス、学年には『カラー』があるのでその『カラー』がいくつかの企業にはあわなかった、ようだ。
具体的に言えば、去年はやんちゃなのが、この『職業体験』制度を
迷惑がっている企業に送り込まれて、インカムつけさせてモニタリングしている会社であることを
すっかり忘れた子供が「こんな仕事、やってられんわ」とぼそっと言ったのが筒抜けになり、
すぐさま「帰れ!」とやられて、他に何の関わりもなかった子供の親まで先生と
そこに全員で行って平謝りに謝ったとか。それから「職業体験」中じゃなかったけど、
たまたま職業体験を受け入れてる店で万引きした子がいたり、など
4月から先生方は今年の3年生に「非常に厳しい目で見られる」と繰り返し諭されていたようだ。
一応希望を募るがどうしても人気のところがあって人数が集中するので
最終的に「体験先」を「くじ」で決めるんだが、どう考えてもその「くじ」は
先生が練りに練ったもので、学年1番間違いない子でございます、の太鼓判を
いくつも押された娘は一人で民営化の某所に派遣され、お金を扱わされたりしている。
私はせいぜいやらされることは職員の方の机の上を拭いたり、たばこの吸い殻集めくらいだろう、
と思っていたんだが、娘は生まれて初めてあんなにたくさんのお金を見たとかで、
ものすごく疲れ果てて1日目は帰ってきた。
9時から3時まで、昼食の時間以外はほとんど職員の人と変わりなく窓口でも対応したとか、
いやはや、信頼はありがたいんだけど、「いいのか?」と言う気も、、
それでも職員の方々は娘によくしてくれて、「本当に役に立ってくれた」「これからも勉強がんばって」など、
評価も最高のものをくれたり二日目の最後はお茶やお菓子でもてなしてくれたり、
親の私としては非常に感謝している。随分気を遣わせただろうに、お礼に伺いたいのだが、
それは学校から固く禁じられている、やはり、次の年に行く子の負担になることもあるので。
インカムつけさせる企業もやっぱり行きたい、と熱意のある真面目な子を
汚名挽回とばかりに選抜して送り込んで、現場ではかなりきつめに当たられたようだが、
黙々とがんばったらしい。ちゃんとよい評価をもらって帰ってきている。
娘は、「今年は不良はいなかったことにして、職業体験させたみたい」
と、鋭いつっこみを入れている。
その希望を募るときにいなかったものは無視したんじゃないか、と
「いないでくれてよかった」と娘は残酷なことを言うし、
現実的にはその方がごく一般的な子供の「名誉」を汚されなくてすむものの、
「学び」の機会をまたその子達は自分でなくしてしまったんだなあ、
と気の毒に思わないでもない。
派遣先が決まっても学校にも来ない子が行きそうにないので仕方がないのかねえ、、
去年のことがあるので今年はどんなに厳しく当たられても我慢するようにと
覚悟を決めさせられていた子供達はそのつもりでがんばって働いたので、
予想以上の好印象に先生方も大喜びだ。。
先生方も自分のクラスの生徒の派遣先を一軒一軒、回って挨拶する、
これもかなりつらい、と私は思う。
娘は私には絶対くるな、と言ってたが、先生が様子を見に来てくれたときはうれしかったと、
なんか、私としてはちょっとむっとしてしまうなあ、お母ちゃんだって、
あんたが窓口でいるの、見たかったよ、
「丁稚奉公」に出したお袋さんは陰からそっと見に行ったりするもんなんだよ、ぶつぶつ、、
職業体験の行き先は色々、また書く。
(たぶん続く)