年末大アソート

イラクフセイン君が処刑されてしまいました、歴史に残る問題事項を目の当たりにしたのですが
東京裁判A級戦犯がどうのこうの言う連中は華麗にも全速力でスルーです。
ホワイトカラーエグゼンプションと同じく。(ところで「エグゼンプション」で登録されたようですね、
私は「イグ」と発音する方がらしいかと思ったけどよく考えたら「ヤンエグ」なる死語もありましたし)
来年に持ち越しですが昭和天皇の戦争責任を認識しつつそれでも処刑されないですんだ事を評価するのは
多分時代の象徴を犠牲にすることなく、それでどのようなねじれがあろうともやはり日本人にとって
よかったと思うからで、彼は明治維新以来初めて立ったまともな「純正」の「君主」に若くしてなったと言う
気の毒な身の上で、父親の大正天皇は本当か嘘かあまり頼りになる存在ではなかったようですし、
明治天皇もまた、非常なかたちで父親を失う悲劇を経て立った「君主」でありましたし、
まあ天皇家も歴史の犠牲者的な捉え方が出来るのではないかと思うのです。
私は死刑賛成派でその点でだけ(?)ダーリンと意見が一致せずいつも喧嘩していたのですが、
この一年あれこれ考えましてやはり死刑反対派になる事に決めました。やはりどのようなかたちであれ
国家が人の命を奪うのは間違いではないかと、そういう歴史をこれからも続けていいものかと思うようになりました。
ブログをした成果がこれ、でしょうかね。もちろん罪は罪で終身刑を日本は作るべきでしょう、
或いはアメリカみたいに200年拘束、とかね。フセイン君は悪い奴でしたが仮にも一国のトップであった人間を
このように簡単に死に至らしめるのは歴史が60年以上前に遡ったようです。それほど長い時間を経ずに
きっとフセイン君は殉教者として祭り上げられるんでしょうね、日本のA級戦犯と同じく。
日本以外でこんなくだらない話を作らないためにも彼は殺すべきではなかったように思います、
単なる個人的な意見ではありますが。で、日本のA級戦犯をどう捉えるかになるのでしょうが
彼らの罪はやはり罪でしょう。死刑になったからと言ってその罪が消える事はないのです。
それはフセイン君と同じく。戦争に負けた事「だけ」が彼らの罪ではないのは
フセイン君の場合と同じく「事実」です。東京裁判は色々ありますが次世代にむけてなんらかのものを
のこしたのはたしかです。歴史にイフは存在しないし考える事も無駄なので私は大嫌いなのですが
ただ、どのような事象であろうともそれは次の時代の別のよりよいものへのステップだと考える事が
今生きている人間ができるもっとも有意義なものではないかと私は小熊英二さんの「民主と愛国」を読んで
思うようになりました。彼は戦後の思想の流れを軽くふれていっただけなのかもしれませんが、
それをするその姿勢に優しさと明るさがあるように私は思いました。思想と言う言葉は時々絶望的なほど暗いです。
私のように亜インテリですらない人間にとっては思想とは「食べられるものー?」の概念すらわいてこないのですが
小熊さんの言葉を通して見た数々の思想は人間の生活の苦闘の道しるべに感じられて
その思想をあみ出した人々の人生が身近に思われました。
小熊さんがあらわそうとした事を私がどれほど汲み取れたか全然確信はないのですが、
言葉は放たれたと同時にその人のものではないと、受け取る側一人一人のものだと思うので、
小熊さんが放った言葉の群れは私に素晴らしいものを与えてくれたのでこの一年でもっとも素晴らしかった
一冊の本としてあげさせて頂きます。私は小熊さんのものの見方の明るさに親しみを覚えます。
上野千鶴子さんつながりで知った人なので上野さんには大きな感謝。
そうそう今年読んでよかった本は上野千鶴子さんの「ナショナリズムジェンダー」、
それから鶴見駿輔さんにお二人がインタビューされた「戦争が遺したもの」、
あとマンガですがイラン出身のマルジャンサトラピの「ペルセポリス」。今年出た「刺繍」もよかったけれど、
イランの圧政下における少女の記録は感動的です。両親と離れてヨーロッパに出て最初に
「香料入りの洗剤を山ほど買う」「以来、現在もうちには常に十数箱の香料入り洗剤がある」とは、
非道な圧制をどれほど言葉尽くして語られるよりそのやるせなさが心に沁みました。
知らない世界の知らない人の日常に共感を覚えられるのはやはりどこででも人間が人間であるからでしょう。
ウーウェンさんのレシピもまたその点で優秀です。中国北京の暮らしを料理を通じて垣間見て、理解できる。
国籍や思想を超えて人間の日常はそれほど変わる事がなく、もっと言えば時代を超えても人間はそれほど変わらない、
いい事か悪い事かは別にしても。他、色々ありますがこのへんで。
では十日間のお休みに入りまして、来年からは不定期に書きます。
もしコメント欄に何かありましても十日以降のお相手となりますのでよろしく。
日記に書く言葉としてはおかしいですが、よいお年を。