田村・任三郎とお別れ。

昨日放映された追悼番組「古畑任三郎」を見てあらためて、涙。

考えてみれば、古畑任三郎は長いシリーズで、

その時代の「時の人」を出演させ、その意味でも素晴らしいドラマだった。

中森明菜も出演していたのだよな、、あの不安定な印象の歌姫を相手に

正和様はどのようなご苦労をなさったのか、それでも不思議と彼女の存在は

最後まで「古畑」にとって大切であったように昨日も描かれていた。

シリーズ最終作だった昨日の回は松嶋菜々子主演で、

あらためて彼女が素晴らしい俳優であることをしみじみと理解する。

二つのキャラクターを巧みに演じ分ける、

それを上手に引きたてる正和様の見事さよ。

常にアクの強い俳優たちと伍して彼らを引き立てつつ、自分も輝く。

美貌のほうが目立った俳優だったが、やはり正和様は名優であったわ、

久々に見て、堪能した。やはり一挙放映で流し見してはいかんな。

最終作の主演が女性でよかった気がする。

古畑任三郎シリーズの元ネタになったコロンボシリーズがそうだったように

女性が犯人だった場合の彼らの在り方がいつも優しく、

悲しみと憐みに満ちたまなざしで、しかし真摯に真実を追求する。

女性への敬意を持ちつつ、きちんとすべきことをする。

職業人の理想形がそこにあったのか、

それを演じるのは日本では正和様でよかったな、と、

アメリカではコロンボのような相手の差別心を刺激するような人種、身なりだったのが

世界的にウケる一因だっただろうが、天然で優雅で紳士的な正和様が演じることで

独特の憂愁とコミカルが融合されていた。

古畑任三郎のリメイクは、私には、されなくてよいかな。

私は最初のシリーズから出続けている西村まさ彦が好きなんだけれど、

どんどん変な人へと変化しているのはいかなる事情かと残念に思うのでした。

彼もまた、二人といない演技者であるなあ。

正和様は、美しく生きて演技して、美しく去っていった人であった。

彼を鑑賞できてよかった。幸せだった。