「ザ・クラウン」3・4メモ その2

ドラマの中の「チャールズとダイアナとカミラ」の関係について。

チャールズが尊大と内気が絡み合う複雑な性格の持ち主なのは

幼少期の過酷な学校生活が影響したかと同情の余地が大いにあるとはいえ、

ダイアナに対する態度が徹底して冷酷に描かれているので驚かされる。

カミラとひきさかれて不満の塊と化したチャールズの前にダイアナが登場して、

最初の出会い自体は夢のあるものであったが、

あまりにダイアナがチャールズの周囲にとっての「理想」過ぎ、

家族からのプレッシャーに負けて結婚を決めたことにも彼は不満を抱く。

ダイアナも伯爵令嬢とはいえ3女で、

チャールズと付き合っていたがおそらく煮え切らない彼の態度に見切りをつけて

別の相手を選んだしっかりものの姉からは軽んじられているような立場で

両親も離婚しているのでチャールズとカミラの関係について忠告をくれる

年長者はいなかったよう。

そんな二人がこの結婚から「逃げる」ことはほぼ不可能だったんじゃないか。

特にまだ10代の少女であったダイアナに何をどれほど理解できたか、

演じる女優さんがあどけないので、その後の不幸を考えると哀れが引き立つ。

ドラマの中で実の祖母がお目付け役兼王族になるための教育者として出てくるが、

このおばあさまが、非常に怖い。

いっそ他人のほうがもっと親身に寄り添ってくれたんじゃないか、

「わがスペンサー家に恥をかかせるな!」とばかりに

ダイアナにプレッシャーをかけるのはあまりにむごくて、また涙。

その上にいつまでもうじうじとカミラに未練たらたらなチャールズときては

彼女の心の病が摂食障害程度で済んでよかったな、とさえ思う。

この女性関係においてドラマのチャールズに良いところ、まるでなし。

カミラも彼のどこが良いのやら、「将来・王様」以外どこにも魅力はない。

ひたすらうじうじしてみているこちらは腹が立つばかり。

ドラマから離れた話になるが、私の親族がバブル時期にロンドンに駐在して

ダイアナ妃をお茶会で「見た」ことがあるそう。

親族いわく王族はつてがあってお金を払えばお茶会に気軽に顔を出してくれたとか。

バブルのころの日本人はよくそんなお茶会を開いたそう。

さすがにエリザベス女王の話は聞いたことはないものの、

来てもにこにこしてほんの10分程度滞在するくらいではあるものの

「屋敷の維持費や使用人の給料のため」と聞いて、王族は大変と涙した。

愛想の良いダイアナは日本人に人気で、チャールズ皇太子は不人気だった。

当時ロンドン在住の日本人の噂ではチャールズはダイアナに嫉妬して

彼女をいじめていると、タブロイド紙まんまの意見が蔓延していたようだ。

その話もドラマに盛り込まれてチャールズは嫌われていると同情する。

チャールズを演じる俳優さんは実にうまい。うじうじぶりが堂に入っている。

カミラは現実でもそうだが、ドラマの中でも「普通」ぶりを振りまいて

この「普通」がチャールズに好まれたは理解できるものの、

多くの人を引き付ける天性の才能にあふれていたダイアナが

その才のために夫に疎まれてしまうのはあまりに理不尽だ。

ドラマの中では離婚したがっていたのはむしろチャールズ側だったとされるが

本当のところはどうだったんだろう?

世間に公開された情報ではダイアナのほうが王室を逃げ出したがっていたようで

彼女へのバッシングもそれなりにあった気もするので、

今回の作品では徹底してチャールズとカミラを悪者にしていた。

とはいえ、次のシーズンで確実にダイアナは消えるのでどうなることか。

シーズン4の最終話でダイアナとフリップ殿下が二人で言い合う、

そのシーンが「謀殺」の噂を立てられたことを思わせて

ネットフリックス!恐るべし!!と思ったのでした。(続く)