「ザ・クラウン」3・4メモ(その4)

「ザ・クラウン」でエリザベス女王以外の王族が驚くほどたばこを

すぱすぱ吸う(せき込んでも吸う)のは何故か。

フィリップ王配殿下の修道女になった母親もやはりたばこを常時ふかす。

エリザベス女王の祖母も死の床でも吸わせてもらう、

マイダーリンいわく、「昔はたばこが薬になると思われていたんじゃないか」と

映像の中でも禁煙が常態化した現代では考えられない頻度の喫煙率で

何かを暗に示しているんじゃないかと勘繰っている。さて。

今読んでいるサッチャー元首相の簡単な評伝では

彼女を「下層の中流」出身と書いて興味深い。

英国の階層社会の厳然ぶりがよくわかる。

現在のエリザベス女王の治世は現代史そのものでもあり、英国政治史の簡単な紹介に

なっているのでサッチャー以降ぐらいしか記憶にない私には勉強になった。

チャーチルとともに始まった治世は、今のボリス・ジョンソンまで、まことに長い。

シーズン1・2で政治関係はチャーチルメイン、4ではサッチャーがメイン、

やはり長く首相を務め、少なからず女王に影響を与えた二人なんだろう。

チャーチルは当たり前だが同じ年のサッチャーもとっくに亡くなっているので

エリザベス女王、本当に長生き。

「スキップ・チャールズ」と国民が言いたがる気持ちもわかる。

すぐ息子と交代しそうだしな。

サッチャーVSエリザベス女王」の話は今読んでいる本を終えてからまた書くにして

シーズン4まで見終えた時点で好感を覚えた登場人物をメモ。

意外にフィリップ王配殿下を気に入った。

複雑な環境で育ちながらそこそこ「普通の親」(良い親ではない)であるのに

ぐっとくる。中年の危機で迷走したりして魅力的なキャラクターだ。

本当の殿下は長年の「コンパニオン」と称する愛人と隠居生活を送るボケた人物で

どこまでが真実か、少なくともチャールズは相当悪意を持って描かれているので

わからない。それでもよく言えばおおらか、正直に言えば「雑」な性格の

いかにも「男!」的人物なのに好感を覚える。

シーズン3のエピソードでは長年恨みを抱き続けてきた実の母親への誤解が解けて

関係が穏やかになる。この母親の「プリンセス・アリス」もまた魅力的で

私は今回初めて知った人物だったがドラマの設定は本物のようだ。

恐ろしく苦労して不幸な人生であったにもかかわらずよりよく生きた

やはり王族とはこういう強い人物も輩出する、

王族がもともと抜きんでた一族である証明のようだ。

彼女に割かれた1エピソードは心温まる。

彼女の弟がルイス・マウントバッテンだったのも驚きだ。

このご一族は激動の歴史に翻弄されるお気の毒な方々に思うが、

日本の下層民が感じることではないな。

2年後の最終シーズンに向けてのメモはこのくらいで。

キャラクターとしては日本軍に苦しめられたため生涯日本を憎んだという

ルイス・マウントバッテン卿もろくでなしだが魅力的な造形だった。

IRAに爆殺されたのは知っていたが労働党党首に不満を抱いて

クーデターを起こそうとしていたのはこのドラマで初めて知って驚いた。

英国事件簿として面白いドラマだ。おわり。