好きなところを思い出す。

竹内結子さんの突然の死で衝撃を受けた私は

ネットのヘドロをほじくりまわす愚挙で心を落ち着かせ、今に至る。

あとに残るはしんとした悲しみか。

可愛い人だったのにな、それからきれいな、美しい人になっていた。

私はたまたま、竹内さんのデビューにあたるホラー映画の一瞬出演を見ている。

その頃、仲間由紀恵さんも売り出し中だったか、

二人とも類まれな美貌の持ち主なのに、なんでこんなホラーに?

と思ったら、日本映画には純粋な美人はまずホラーで売り出す系譜があるらしい。

最初から逸材であったのだな、と今思い返している。

様々なドラマや映画で愉しませてくれた素晴らしい女優さんを失った悲しみは

癒えることが無いけれど、最も素晴らしいと思った役柄を書いて覚えておこう。

NHK大河「真田丸」の茶々役が絶品だった。

私はこの先竹内結子さん以上の茶々を見ることはないと思うくらいに。

品があって明るくて、他人をひきつけてやまない魅力の持ち主で

時折ぞっとするような魔性をのぞかせる。

周囲の人間が自分に服従しなければ気がおさまらない狂気を秘めた演技が

あまりに美しすぎて、恐ろしかった。

茶々の悲劇をまさに体現している役を見事に演じきって、

私にはこれが彼女の代表作であると思われる。

周囲を半ばわかって振り回して、それを面白がると同時にイライラもしている、

その身勝手さにまた深い悲しみを感じさせて、

混乱する時代の悲劇の女性であったのだと、人間の哀れさを感じさせ、

嫌な役柄なんだけれど最後まで憎めなかった。

あれほど複雑な役柄をさらりと演じた(ように見える)素晴らしい女優さんが

この世界からいなくなったのだな、

私は、それより以前に、確かクリームチーズのCMで天使役をしていたのも

好きだった。本当に天使になってしまったんだろう、と今は考える。

自死で家族を失うと何故か家族が不当に叩かれる。

この醜い世界にこれ以上存在したくなかったか。書くとやはり悲しい。

おわり。