夏の読書案内。(その2)

昨日、「マウス」と「マウス2」の翻訳出版年を確かめようと書庫に入ったが、あまりの暑さに断念し、帰宅したマイダーリンに出してきてもらうと、
なんと発行年は3年ほどしか空いていない!小野耕世先生、ごめんなさい、空いた年数の体感は「10年」に思えました、申し訳ありません。
「マウス」は1991年発行、「マウス2」は1994年発行、
いやはや、出産と言う増殖を果たした私は時間間隔が狂っていたか、あるいは発行後かなりたってから読んだか。年寄りの記憶はあいまい。(涙)
という頼りない記憶の持ち主である私の読書案内は、とりあえず、続ける。
海外漫画で始まったので、漫画つながりで。
私の「生涯ベスト1」と推す日本漫画は松本大洋の「竹光侍」、これは絵からストーリーから、せりふの一つ一つまで、何もかもが好き。
こうも魅力的な作品をよくぞ、私が生きている間に生み出してくれました!と感謝している。
この「竹光侍」愛はなかなか周囲(といっても「家族」)に理解されず、
絵の好きな下の娘が大学生になってようやく読んでくれて、「確かにすごい」といってくれたものの、
娘曰く「たぶん、私の周囲の自称漫画好きにはこのよさはわからないと思う」「これは私ぐらいの年の学生が読む「漫画」ではないわ」と、
下の娘に「俺って漫画結構詳しいんだよね」君たちの推す漫画の名前を教えてもらっても、右から左に抜けて行くわたし。とほほ。
父親からオタク教育を施された娘たちは松本大洋五十嵐大介作品のすごさを理解するが、同世代には「無理」なのを知っている。
これが「世代の断絶」か。
話を「竹光侍」に戻す。
エピローグできれいな大団円になる明るさは心地いいが、そこにいたるラストの「オチ」は私にメリメの「トレドの真珠」を思い出させた。
主人公の「剣豪としての死」は「トレドの真珠」のオチの悲劇に通じる。しかしその悲劇から緩やかな幸福につながるのがすばらしい。
さて、この作品もマイダーリンが薦めてくれた本である。私独自の読書暦を振り返ると人に薦められるような本に感動したことがないのを発見。
まあ「サキ没後100年記念」な人だから、と言うことで。たぶん、続く。