育ちが悪くてよかったな、と思うことなど。

うちの二人の娘たちは中学まで最底辺地元公立中学で育って

その後、進学高校を経て高偏差値大学、社会人と、

大学では子供の頃から私立育ちのご学友が少なからず存在し

(東京はそれが顕著)

親子ともども育ちの違いを目の当たりにして驚かされてきたことが多いのだけど、

底辺公立で育ったことがなんの役にも立たなかったことは、ない。

むしろ、これでよかった、なんて親子ともども納得することが多くて、

そのひとつが適当な時期に適切に怒ることが出来る技術で

「やられたら、やり返す!倍返しじゃー!!」とまでは行かないが、

地元の底辺で育つといつまでも腹を立てないと気弱だとみなされて

ずっと踏みつけにされる。故に阿吽の呼吸で怒ることができる。

私も娘もたまに出会って驚かされるのが、育ちの良い人の中には

効果的に「キレる」ことが出来ない人が少なからずいて

また、育ちの良い人間の中には、その手の人間を前提にして世の中をなめてかかる、

たまにうちの娘たちのように天然で社会的上下関係に疎く、

 ちょいとなぶられたら即座にその手を激しく噛むくらいの反射神経で

社会を渡っているのに出会って泣きを見る。

狭い価値観の中で常に自分が上位者であるとの意識はたいそうご立派ではあるが

化けの皮をはがせば他人が自分に決して噛み付かない大前提の中で甘えているだけで

ほんの少し傷つけられたくらいでキャーキャーわめく。

最初にやったのはあんたでしょう?と、言いたくなるのは私の場合、ネットで多々。

それはともかく、他人に興味がなくとも他人にむやみに害されるときに

歯向かえないほど、お人よしではないのはまことに育ちの悪さのありがたいところよ、

私も娘たちも一度でもかすり傷をつけてきた人間を忘れることはない。

それが小中学校で意味なく傷つけてくる人間が少なからずいた社会で

「もてるもの」とみなされて敵意を向けられてきた子供たちの防衛本能で、

これは社会人になってから身につけるのは難しいんじゃないかな、なんて、

特に、下の娘はちょっととろーんとした感じに見える子なんだけど、

伊達に中学時代から体育会系部活を大学卒業まで続けてこられた子ではないので

「やるときにはきっちりやる!」と、

彼女を侮って噛み付かれる側に私は若干の 同情心を覚えるのでした。

本当に頭のよい人間を怒らせてはいけないというのはほぼ生涯を

自分よりはるかに頭の良い人間に囲まれて無駄に過ごしてきた私の結論で

憎悪を含まない純粋な怒りは恐いのですよ。憎悪はまだ可愛い。

下の娘が過ごしてきた場所は、かなりのブラック部活、ブラック研究室だったので

噂で暇をつぶす暇がなかった、それが良かったか、悪かったか。

しかし部活でも色々あった割りに娘は噂話は「どうでもよいフォルダ」に入れて

忘れてるんだろうな、今回同期の噂話で困惑しているのが

同期の中で社会人デビュー!でもしてるのかとばかりにあらゆる同期女子女に

愛想を振りまきまくっていたくせに、ふたを開ければ既婚者だった、

その上、今回の座学研修で「俺、あの子とやった」のような馬鹿な「武勇伝」を

吹きまくるバカの「相手」と名指されたのが、娘が好感を持っている女の子だった、

親しい彼女がそういう噂を流されているのに自分はどうすることも出来ない、

そこに娘は心を弱らされたよう。

「あの阿呆が吹きまくっている話のどこまでが本当かわからないのに、噂する!」と

娘はその噂を広めまくる同期に困惑しているが、

研修中に既に結婚している人間が同期にそんな粉を振りまくとは、

おそらくいずれはどちらかがどうにかなる、

ただ男側が娘と同じく旧帝大理系院卒の開発研究部門で

何かあったとき、どちらが切られるか、と考えるとなんだかなあ、

と私は思うのでした。

ある程度以上の学歴で日系大企業に就職しながらこんなくせの悪い奴が存在するか、

とおばはん、がっかり。

ところで、私は仕事場でのアドバイスが出来るわけではないので

口をすっぱくして言い聞かせる人生訓をネットでいただけるのは大変ありがたい。

と同時に、いざと言うとき戦えないほど弱くない、

自分と子供たちの育ちの悪さをありがたく思っているのでした。おわり。