以前から、東京に行くたび、気になっていたのが、
東京の人間は私の知る限り上方の人間より、
他人のテーブルの話に聞き耳を立てていること。
つい先だっても、さほど大きな声で話しているわけでもなく、
ものすごく面白いことを話しているわけでもないのに、
周囲が私たちの会話に聞き耳を立てている気配で驚かされた。
これは上京する度経験する。
私は星付きレストランで気がつけばそこにいる全員が
何故か私と相手の話しの内容を聞いている雰囲気に
面食らったことがある。
たしかアメコミと英国ミステリの登場人物についての
考察だったと思うが、
店を出るときにそこのシェフがニコニコしながら
「面白い話を聞かせていただいて、」と言ってきたりして、
大変恐縮した。
地元にいるとき、同じような話をしていても、
周囲が聞き耳を立てているのを感じたことがないので、
これはいかなることか、と反省して(?)
上京して一人で店にいるとき周囲の話に耳を傾けたところ、
仲が良さそうに見える数人のおばちゃんたちでも、
驚くほど形式的な、内容のない話をしている人たちが多い。
上方ならそのへんのお姉ちゃんたちでも、もっとおもろい話してるで、
と説教したくなるレベルだ。
どうにも通り一遍の紋きりのお付き合いが好まれるのが東の文化か、
もうちょっとつっこんで話せばよほど内容のある会話になるだろうに、
しかし考えてみれば、上方の人間は、特に私を含むおばちゃんは、
人の話など聞きもせず、一人でわぁーっと話してしまうので、
少しは人の話を聞いたほうが良いのかもしれない、
でもおばちゃんたちはお互いに濃い時間を過ごし満足して帰るので、
それはそれで良いような、
そして案外相手の話の要所はつかんでいたりするので、
お付き合いは深くなる。
ただよそのテーブルの話まで聞く余裕はないので、
やはり東京の「聞き耳文化」は独特だな、と思ったのでした。
狭い店が多いのでテーブルが近すぎる物理的な問題ですかね?
この謎はまた上京したときに考察予定。終わり。