「フロスト」は、好きかい?

と、年始早々、誰も読んでいないと思って「フロスト」シリーズの鉄板ネタ、「浣腸は、好きかい?」をもじっております。
「フロスト」シリーズ、最終話、「フロスト始末」を、年末年始は満喫しておりました。
最終作は書かれたのが2000年代、そして作者は2007年にお亡くなりになったにもかかわらず、
ようやく2017年に翻訳される、このタイムラグは理解しておかなければ楽しむにはなかなか難しい、
まあ、お下劣な「フロスト」ファンへの最後のご挨拶、として、「このミス」の評価は甘かったかな?
最後と言うのがわかっているので、私も評価は甘くなり、大変楽しめた。
相変わらず、フロストの勤務地「デントン」は小児愛好者やら、強姦者やら、ろくでなしの叩き売り状態なんだが、
今回、フロストは逃げようのない自業自得の危機に陥り、どうなる?フロスト!と、ハラハラする。
デントンといえば、フロスト、フロスト、といえばデントン、のはずが、最終話で去って行くのか!フロスト!!
作者は、これが最後の作品になると考えていたのか、それをふと感じさせる部分もあり、感慨深い。
ミステリの展開はあいも変わらず、にっちもさっちも行かない状態から、最終解決に向かっての疾走感は圧倒的。
フロストは、お下劣さにまぎれて、かなりブラックなハードボイルドに私は思っているが、
おそらくは、この作品が最もお下劣で、ブラック、最後の最後で「お見事!」と手を叩きたくなる、すばらしい結末となった。
人生の最後に、こういうお下劣かつちゃっかりなことを書ききるとは、すばらしい人物だったのかも、ウィングフィールド
さようなら、あなた、愛していたよ、と、もう10年以上も前に亡くなった人にあらためて言いたくなった。
作者は、邦訳されて大ヒットしたあとわりにすぐ亡くなっているので、そのときの記憶が私にはある。
未邦訳が多くあると知っていたものの、残念に思った。
英国のミステリ作家は長命な人が多いので、70代でなくなるとは、実に惜しい。
フロストシリーズは、はずれがない、お下劣が好きな人間には絶対はずさないシリーズで、
私は特に最初の3作品とこの最終作品を強くお勧めする。
「お下劣は、好きかい?」といいたくなる。私は大好きです!お下劣人間なので。
しかし、これはいまどき、許されざる作品だろうと思うなあ、故にもうこういう下劣さはかかれなくなるんじゃないか、
平気でむき出しの差別語を連発するのでな、
ウェールズ生まれの泥棒タフィー」のマザーグースは、現存するのか?
そのネタを知っていると、結構ひやひやする、「フロスト」だから許されるのか、それともまだ2000年代だったからか、
テレビシリーズは哀愁漂うハードボイルドで製作されているので、この手のブラック極まりない用語は出てなかったと思うが、
かのテレビシリーズは、作者にとって不満だったらしく、1作目で見なくなったそう。
作者に見捨てられたテレビシリーズ、私もあまり好きではない、が、主人公の造形はイメージにぴったりだ。
ただ原作にある差別があからさまな言い回しはテレビでは用いられまい、製作が難しい作品だ。
てなわけで、年始は、ミステリシリーズの記録から。しばらくミステリネタを続けるざんす。あけおめ。