読書感想。「とある新人漫画家に、云々」

先日より話題の本をマイダーリンが買って帰ってきたのでうっかり読んでしまった感想を。
とりあえずわかったことは現在商業誌の編集者はどこもおかしなのがいるということで、
この作者はそもそも商業誌で書かせるレベルの人であったかどうか、その点でこの編集者たちが許しがたい。
作者は「ネット」ではそこそこでも、一般人の目に触れるレベルに達している人ではないんじゃないか、
「漫画」としてのレベルの低さに唖然とした。これを売り出しますかね、売り出しましたかね、という感じ。
作者が非常に気の毒な経験をしたのは間違いないが、読んでいると私は作者に腹がたってしょうがなかった。
漫画のレベルが低いのにも腹が立つが、相手に「忖度」を求めすぎて誤解される隙を自ら与えている。
とにかく「モノローグ」が多すぎる。
「はぁ、何を言ってますか?」ってちゃんと声に出していったらいかがか、
ひどい部分だと1ページ丸ごと「心の声」で、発したことばが「そうですね」程度しかなかったり。
作者のモノローグを全て除去して、相手と作者の発したことばだけを追って行くと、
編集者の対応も当然のものに見えてくる。こういう対応しか「出来ない」相手、とすら思える。
作者の「何もいわなくても私をわかって」が多すぎて、それじゃ相手にわからないでしょ、目的がまったく果たせてないでしょ、
何かといえばお題目、「これからの漫画家、クリエイターの方のために!」と、
やたら「主語」は大きいがまず、自分ひとりの状況を少しでも改善する努力をしてはいかがか、
結局、作者は編集者の意向のままに動いている、必要のない無給の仕事をやってしまっている。
私はこの編集者は会社内部では評価が高いと思う。異様な枚数の色紙を書かせたので。おそらくは無料で。
編集者にとって、この作家は会社から「ノルマ」として課された「新人発掘!」人材の一人でしかない。
会社側は作者に漫画家としての力量もさほどではないことをむしろ「忖度しろ」とそのいい加減な対応から匂わせている。
しかし、それをはっきりという非礼を一切犯していないところが実に「大人」の対応だと、
私としては思わざるをえない。さすがに大手出版社に勤める人間だけあって如才がない。
作者は自身を相手に「忖度」させることも出来ていないが、相手を「忖度」することも出来ていない。
作者がまだ若い人間であるにしろ、この交渉の下手さ、というよりは会社側の対応のうまさには舌を巻く。
会社側は使い捨ての作家が勝手に騒いで話題づくりをしてくれた、でしかないんじゃないか、
そしてそこにまた乗ったのが今回の出版社で、もう少しネタをあたためてから出されてはいかがか、
もう「話題」になったから飛びついた!がミエミエすぎて、うんざりする。
でも「話題」が一番「売れる」根拠なのだろう、私もつい読んでしまったからね。
私はこの作家が今後売れる漫画家になるのかどうかはよくわからない。
でも、書いていたネタがこの漫画でも随所で見せつける「毒親に育てられたかわいそうな私!」ならば、
それだけで金を落とす層はいるんだろう。
ただそれがかなり「思い込み」の暴走でしかない可能性も読んで大いに感じたので、
安易にこの手の人間を無理やり商業ベースに乗せるのは、編集職者はやめたほうがいいと思った。
とにかく「漫画」としてのレベルの低さに私は激怒しているので作者には、申し訳ないが「同情」は、ない。