読書メモ。「堕落する高級ブランド」

原題・「DELUXE:HOW LUXURY LOST ITS LUSTER」「L L L」と頭韻ですな。日本語タイトルが煽り系でやや残念。ただ内容の最終部分を読むと著者の叫びか、とも思える。
半月ほど前に読んだ本なんだけれど、先日の英国選挙で思い出したので、覚えていることをメモ。
まずはベルナール・アルノーという人物が著者の意図を裏切って私には面白く思えたこと。
「ルイヴィトンモエヘネシー」という身も蓋もないタイトルのコングロマリットを運営している人で、完全な投資家、この人はすごい。
凄すぎて、なるほどEU連合がフランス優勢で英国が気に入らないのがわかるような。
「ブランドの覇者」がおフランス野郎なのが気に入らないかも。(適当)
それはともかく、面白いと思わせたのが、この人の名のあるブランド買収後の儲けるための戦略が面白い、完全に消費行動を変えたね、
それまで遠い存在だった高級品を「手に取り安いブランド」にしてしまったのは永久戦犯並にそれまでのブランドを信仰してきた人には忌々しかろうが、
一般庶民には「開放者」として時代の寵児だわ。
なぜ、極少数の人間に有利なシステムを考え出した人間は「素晴らしき開拓者!」ともてはやされて、
この手の多くの人間の消費行動を大きく変えるシステムの考案者は「裏切り者!」扱いされるのか。
狭量こそが「ブランド」の証なのか、だから買収されるんでしょうに、「極少数の限られた人間だけに」は幻想であるべきなんじゃないかな、
平和と平等が続いて欲しいなら。まあ、それまで愛してきたブランドの品質が落ちていく気持ちはわからないではないけれど。
中間階層が多ければ多いほど文化的であると、世界がそうあって欲しいなら、こういうブランドの使い方はありだと私は思った。
面白いと思わせたたのはもう一つ、ここ20年ほど、私のようなバブル世代が見てきた事象が、きちんと説明されていること、
海外のDFSで空港中がその香りで溢れんばかりのブランド香水の宣伝戦略はこれだったのか!と、どこの空港で何が香っていたか、漠然とだけれど覚えている。
あんなにふんだんに使わんでもなあ、、と思ったものの、あれはアピール合戦だったのね、腑に落ちた。とにかく私世代にはこれで納得、なネタ満載。
それにしても、「アドバタイジング」「マーケティング」というのは胡散臭いものだなあ、私には「コンサル」なんて言葉並みに信用度が低い。
話は全然本に関わりないが、最近かつてはマックスファクターのブランドだった「SK2」が最近、ガンガン広告しているのは
「P&G」傘下に入ったからなのね、、、なんてことに感心したりして。いやー、パッとしないおばちゃんブランド化粧品だったけどね。
綾瀬はるかちゃんで大プッシュ、それだけで「もう私の時代は終わった、、、」感があるわ。
そしてこれはこの本で知ったが「P&G」は香水メーカー「キャロン」が傘下にあるらしい、なるほど、洗剤系の匂いが格段にいいのは、そういう理由か。
まさに「ブランドのトリクルダウン!」なんちゃって。妙なところで一般庶民が恩恵に預かるものよ、、
と言って、製品の出来は日本の「ライオン」や「花王」の方がいいと思うが。
宣伝をしすぎて一見さんにしかならないのよ、アメリカさんの商売の仕方は怖いでんなあ。
長くなったのでいったん終わり。続きは未定。忘れるのでなあ、、、(涙)