人生・メモ。

久々に中村うさぎを読んで、あらー、うさぎさん、ツイッターなんかしてるんだ、と驚く。
体調不良で危機を迎える前後に書かれたものをまとめた「死からの生還」で、独自の「ツイッター」論を展開していて面白い。
現在はツイッターはやっていないようで、何があったのやら。これはまたどこかでその顛末を読まねば。
このエッセイの感想はそのうち書くにして、相変わらず、うさぎ女王様はメンタル面で乱高下。
その理由はいくつも考えられるけれど、やはり強すぎる「向上心」のせいじゃないかなあ。
私がネットで気づかされた事の一つに、世の中には強すぎるほど「向上心」を持つ人がいるということ。
それがあるからこそ、世間一般の凡人よりもはるかに成功した人生を送っているのだけれど、それでもその人の強すぎる「向上心」を満足させない、
そういう不幸を抱えた人がネットでは数多くいるように思う。ネットで好まれる言葉は「承認要求」だけどね。
もともと人よりも能力が高くて、子供の頃からあまり失敗をしたことがない、つまり「諦める」経験をしたことがない、
多分「諦める」も習得すべき「技術力」なのだよね、、、年取ったら「諦める」ことがやはり若い頃よりも増える、でもそれが受け入れがたい人がいるようだ。
先日、都内に住む親戚から聞かされた話があって、50すぎのマダムで、若い頃は超一流企業の今で言う「バリキャリ」、
同じく超一流企業の夫と結婚して夫の海外赴任もあったので惜しげなく退職、二人の子供の手が離れた頃に別の業種のフリーで復職、
都内の一等地に豪華マンションを二部屋所有して一つは人に貸して、もう一つに成人して超一流企業に就職した子供達と夫と住んでいる。
人も羨む成功した素敵マダムの生活じゃないか!と私は感嘆するが、本人にはそうじゃないらしい。
「私は結局、ここまでにしかなれなかった、、、」と、眠れないほど絶望しているそうだ。
彼女は都内の一等地の大邸宅に住みたかったそうで、「たかだか会社勤めの夫とではそこまでにはいけなかった」と、
要は、昔の同僚の中には、いわゆる「ベンチャー」というか「自営業」の夫がいて、そういう夫を持つ人は皆、素晴らしい大邸宅に住んでいるそうだ。
まあ、日本は自営業に税法上、甘いからね、一等地に家があっても、固定資産税なんてほぼ払わんし。
「私は夫の選び方を間違った!」と身も蓋もないことを。人間、おばちゃんになると、言いたい放題。
それにしても、幸せな結婚をし、優秀な子供を育て、キャリアもそこそこ、のじゅうぶん「勝ち組」な人生を歩んでいるにも関わらず、
このような喪失感というか、絶望感を抱えている人がいようとは!と驚いたのだけど、多分、この方も中村うさぎさんと同じ病を抱えている、
強すぎる「向上心」という病を。
それがあるからこそ「成功」するのに、それがあるからこそ、年をとった時、苦しい。
聞いたときには驚き呆れた話だったけれど、うさぎさんのエッセイを久々に読んで、何となくその苦しみが理解できる気がした。
優秀な人間には優秀がゆえの苦しみがあるのだなあ、と。
しかし、旦那さんには気の毒な話だ。こういう心境は、旦那さんには「更年期障害」と受け入れて欲しいものだわ、多分、それが一番近い。
そして、そのマダムは、特に「だから子供たちには!」と結婚相手を制限するようなことは言ってないようなんで、善良な人のような。(気がする。)
いい年になって、いよいよ向上心がいまいち足りない私は、もう少し向上心をどこかで仕入れるべきか、とも思うのでした。