「ホームズ」もの・雑記。

ドラマ「シャーロック」を見るきっかけとなったのがジュード・ロウがワトソン役のハリウッド版「シャーロック・ホームズ」で、
これは「シャーロック」好きの人で評価が分かれているのが面白い。
嫌いな人はホームズ役のロバート・ダウニーJrを「あんなちびっこ」と書くし(原作で「ホームズ」は長身痩躯)
好きな人はあれでもいいな、と、ただ「シャーロック」ではどうやらワトソンの方が年上なのに対し、ハリウッド版では明らかにホームズの方が年上、
原作を読み直しているものの、どちらが正解かは、はて。
考えてみればグラナダ版のホームズや「ヤングシャーロック」だの、私も昔から「ホームズ」もの、好きだな。
確か学校時代の先輩後輩としてホームズ、ワトソンを描いた「ヤングシャーロック」は後に同居する根拠としてはなかなか良かった。
子供時代、なぜいい年のおっさん二人が一緒に住むのか「きっと大昔のロンドンではよくあったことなんだろう」と勝手に納得していたものの、
これは今に至るまでいろいろ取りざたされる問題らしい。
原作では早々にワトソンが結婚をして二人で暮らす時期は短いようだ。ということは、当時でもこの状態は「危ない関係」だったんだろうか。
実際、英国ではかなり最近まで同性愛が罪であったわけだから、「問題」部分にドイルは早めに片をつけたか。
で「シャーロック」を見ていて、改めて驚かされるのが男が二人で連れ立っているとだいたい「ゲイカップル」とみなされる、
ストレートであってももてない男が二人でつるむ、なんてことは欧米では許されていない現実に、涙。
これは「シャーロック」の中ではくり返し使われるネタで、あまり腐女子要素のない私にとってはどうでもいいことなんですけど。
基本的にホームズがどういうセクシュアリティであったとしてもいいじゃないか、
シャーロキアンには「女好き」とみなされているワトソン相手に恋をする無駄はホームズはしそうにないしな、なんて
でもあれこれファンサイトを読んでいるとこれは大きな問題らしく、いろんな議論がある。
ハリウッド版ではどう見ても女好きにしか見えないダウニーJrがホームズ役なので、どれほどワトソンの結婚にあがいて見せても
それが「愛」のためというより、単に都合のいい相棒を取られたくない駄々っ子のむずがりにしか見えなかったりして。
で「ドラマ」版ではどうかというと、しいて言えばシャーロックはバイセクシュアル程度ではないかな、
どうでもいい、的な、そういう関係を避けている、それは多分原作でもそうで、
原作の時代を考えるとあまりにも硬直した階層制度では結婚そのものが恐ろしく難しいという現実問題を孕んでいたので
あえてホームズの「愛情問題」は避けていたと思う。
ワトソンが気軽に結婚ができるのは硬直化した階層制度の中で比較的自由が許された特殊な職業「医師」であったこと、
そしてその相手が「家庭教師」という、これまた大変曖昧な身分であったためだろうから、比較にはならない。
時代背景を考えると、まあ男同士がともに住む不自然に突っ込むよりは当時の社会背景を考えてあえて関係を避けた、
セクシュアリティーの問題ではない、が私の答えだけど、ま、英国だしね。
この間読んだ「ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ」も突き詰めれば男同士の「愛」の物語だし、英国名産「オトコ愛」としておこうか。
ヴィクトリア時代は結婚が完全なる経済活動で一定以上の階層では資産なしには結婚ができなかった、
階層が固定するというのは昔からこの手の弊害が現れる、それを克服する手段は1世紀以上たっても見つかっていない。
ドラマにはあまり関係ないけど、そういうことを考えたざんす、終わり。