本のメモ・佐野眞一「別海から来た女」

アマゾン評はあてにならないな、としみじみ。
好意的ではない評価の方が目立った気がするが、問題にされる佐野氏の泥臭い書き方がこの事件にやや救いを与えたように思う。
でも多分「救い」を求めてしまうのはやはり「事件」を「物語」として消費してしまおうとする悪い傾向だなあ。
佐野氏の癖のある書き方はともかく、かなり事件の周辺を詳細に追っているので面白い。
まず木嶋被告は窃盗や詐欺などの微罪をこれまでに何度も繰り返していること、
だからといって殺人にまで及ぶか?といえば疑問ではあるけれど、なぜ、こうも微罪を繰り返してきたか、やや不思議でもある。
問題となった事件も3ヶ月ごとにやっていたりして、勤勉と言おうか、なんと言おうか。
詐欺師は非常に働き者、というか、マメでなければ詐欺は出来ない、などと基本的に怠け者な私はちょっと感心したりして。
本当に「婚活」をしていたとしてこうもまめまめしくいろんな人と次々に会えるものかな?
そして「事件」とはならなかったものの、かなり長いあいだ愛人関係(?)にあったらしいリサイクル業者のなくなった男性が
木嶋被告の銀行口座に振り込んだ額が5年間で7400万円とは、もしそれが本当に彼女が使うためだけのものだったとしたら
年収2000万円近くとなる。(しかもおそらくは無税!)
これって何に消えたんだろうな、マンションを持っていたわけじゃなし、脱税工作協力の一部だったのか、
とにかく、それが「残っていない」ことが私には不思議でならない。
その後手に入れた金で「コルドンブルー」の講座料やベンツを買っているようだけど、それほど高い買い物でもない。
コルドンブルーでもフランスまで行ったならともかく、日本では100万くらいだものなあ。
高校生の予備校費でもそれくらいするところはあるものね。
ベンツもあまりクラスの高いものではないようだ、500万前後ならレクサスを買ったほうがお得感が、、、なんて、
とにかく得た金額が多い割に使い方がそれほど大きくない。そこが私には大いなる「謎」かも。
と、ここまで書いたところで、人が来たのでこれまで。
なんだかんだ言って無慈悲な私が一番不可思議なのは彼女のお金の使い方か。自分自身の散文ぶりが情けない。(涙)