読書メモ。

福満しげゆきの「僕の小規模な生活」を読み直して、何故この人を見ル野栄司と同じ箱に入れていたか思い出した。
バクマン」系のマンガ編集話なんだなあ、はじめは。
わが家の子どもたちには人気の「バクマン」をわたしはもう読んでいないがこういう「編集現場の内輪のあれこれ」が語られるのが最近の話か、
見ル野栄司の「敏腕編集!インコさん」は完全に内輪もめ、壊れた系ギャグマンガだが。
なんにしても「作品」は作者に簡単に書かせてもらえるものではないらしい、その攻防はなかなか涙ぐまい。
編集者とマンガ家、学歴から生活レベルまで、まるで違う人間がともにものを生み出すのは本当に大変だろう、
が、「僕の小規模な生活」は1〜2巻はそれほど面白く読んでいない。舞台裏をおもしろがるほど私は「通」じゃない。
しかし、最近「ママはテンパリスト」のファイナルを出した東村アキコを追いかけて(?)「男の育児漫画を書く!」的な宣言をしてからが面白い。
まー、コマコマと悩むこと、煩悶すること、この「生活感」こそ、福満氏の独壇場だなあ、
このかたはネットをよく見るらしいので、さまざまなところで育児ネタのバトルが繰り広げられていることをしっていながら、
自分もそれなりに「思いこみ」的なものを持つことを、男としてはみごとに情けなくも迷うことを、セキララに書く。
「生活」に振り回される「小規模な僕」を隠すことはしない。こういう「内輪話」が私は好きなんだなあ、
と言うか、「生活」に四苦八苦する人間が好きなんだね、たいていの人間が「生活」と格闘するものだから。
「生活」と格闘しながら結局福満氏は「マンガ家」という「何者か」になれたわけだから、ほんのりと、そこに「希望」がある。
福満氏はこんなにネガティブな芸風の人なのにもう一人お子さんが出来た、と言う話だしね。いやー、めでたい。
そういえば、ネットの巡回先で「レインマンになった云々」というエントリが取り上げられていて、夫が妻を「レインマン」と考えるように
妻も夫を「レインマン」と考えるんだろうと思った。
似たもの夫婦だ、お互い、自分が「正しい」と思うことにしがみつくことしかできない、そのお互いの弱さにきちんと向き合うように出来れば、夫婦関係も変わっていくんじゃないのかな。
私が福満氏を夫としても父親としても「えらい」と思ったのは、原発関連にしろ、予防接種や病院とのつきあい方にしろ、
決して自分や妻の「感覚」を無視しない、それが「正しい」とは思っていなくても、他人からはどう見られるかがわかっていても、「どうせオレはDQN親だ!」と開き直る。
この「強さ」が私はとても好きだ。頼りになる人だと思う。
ネットの「正しさ」とのつきあい方にしろ、福満しげゆき的感覚は有効かも。
二人目育児漫画はどんなになるのかな?とても楽しみだ。