「けっかい」、、(おわらいです)

学生時代、「作品の著者をネタに感想を書くんじゃない!」と教育されたにもかかわらず、全然身についていない私、、、
でも、どの登場人物にもさっぱり感情移入できなかったんだよー!(涙)
「えー、こんな人っているかぁ?」って、「娯楽小説」にしては、平野さんの人物描写は繊細すぎるんじゃないかな、
この手の「話題てんこ盛り」小説はある程度下世話で粗い表現が出来ないと、かえって現実感が薄らぐような、
これは桐野夏生宮部みゆきさんが書く本でしょうに、
「これでもか!」の戯画化した人物表現がかえって「いるいるいる」みたいな、そういう「共感」を持たせると思うんだな、
どーも、どの女性登場人物にも「あー、わかる」ってのはなかったんだな、まあ、様々な「母親」が出てくるわけだけれども。
「物語」は「一家族、ほぼ全滅、生き残ったものは気がふれる」の「シェクスピア悲劇」の「典型」で終わるのに、人物像が「弱い」、
「キャラ立ちしていない」というんだろうかね、、、ま、私の周りにはこんな人たちいないな、ってだけのことかもしれないが。
私にとっては、女と、職場の後輩と、友達と話しているときにいきなり延々と「蘊蓄」を語り始めるような「男」が「もてる」か?ってのがあってね、
「なにいってんのかわかんないけど、難しそうな話知ってるしー」で引っかかるバカ女はいるのかもしれないが。
だから「エディターズバッグ」と「アリュール」か、どこかで「詰めの甘い女」としての「描写」なのかしらね、、、
しかし、「賢い」はずの人がそんなアホな女を引っかけまくって楽しいですかー?と聞きたくなる、そもそも、私は男の「蘊蓄ばなし」嫌いだしな。
昔の賢人の「イタコ」になられてもな、、、、
えらいのはその「賢人」であって、知識をいくらひけらかされても、その「知っている」ということ「だけ」で感心することはないね。
要は、その得た「知識」で自分に「なに」が出来ているか、ほとんどの「蘊蓄」語りする奴にはそれがないんだよな、
「こーゆーこと知ってる俺ってえらいだろ」と、若いころの私はメシをおごってもらってる場合にのみ
「へー、チョーすっごーい、みたいなー」的なことは「お義理」で言ってたけど。(これを私は「社会性」と呼ぶ。)
まあ、平野さんの場合、それなりに優秀な「いたこ」でもあり、ご自分の考えをちゃんとお持ちだと思うわ、
それにしても、こんなところで延々と話されてもなあ、そういう「蘊蓄」語りを削いでもっと緻密に構成を考えた方がよかったんじゃないかな。
元々、きっちり構成の出来る人だろうに、なにもこんな「話題全部つっこんでみましたー!」な小説を書かなくても、
もう少し書くべき話題を絞り込んで、とことん、心情を掘り下げる、
私は、平野さんは「ねじの回転」の「ヘンリー・ジェームス」のような小説家になって欲しいなあ、、、そもそも「純文学」系の人でしょうに。
でも「純文学」は「売れない」って言うしなあ、大人の諸事情が哀しいわぁ、、、
日本語が亡びるとき」よりも「日本の純文学が亡びるとき」の方が辛い。(そんなに読んでないくせに)
中学生のネット利用だとか、いじめとか、冤罪被害とか、「へー、はー、ホー」となる小説だけれども、私はあんまり好きじゃない。
でもふと、被害者の親でもあり、加害者の親でもある、な状況になる場面で、ふと、以前兄が妹をバラバラにした事件の時、
その「遺族」が迅速に、生き残った「加害者」の息子をかばう方に回った、その「賢さ」を思い出したわ。
あれは非難ごうごうだったけれど、ある意味、「適切」な遺族としての在り方だと私は感服した。
いざとなれば、そういうことが出来る、人間って、意外に「強い」ものなんだよ、それがちょっと平野さんの小説には足りなかったかな、
あったのは、被害者が最後に見せた「強さ」くらいかなあ。でも殺されるわけだし、ああ、シェクスピア。
あと、「表現の自由」はどこまで許されるか?的な問いかけもあって、(なんで、こうもヘンな「げいじゅつか」が冒頭から登場するか、と思っていたら)
私は「表現」が人を傷つけるのではなく、その「表現」を「あえてする」という「行動」が人を傷つけるのだと最近、考えた、って、
ほんま、私の感想まで「てんこ盛り」、「お得」と言っていい小説かしらね。
渡辺淳一的、田中康夫的(唐突だが「青山」とか「汐留」とかの地名やブランド使いが)、宮部みゆき風、桐野夏生風味は少々欠ける、
「大」小説だったざんす。
今、ブコメでこの小説の主人公は平野さんご自身らしいと知ってびっくり。えーっと、主人公はもてもての「イケメン」の設定なんですが。
心が歪むと目まで歪んでいるのか、私には平野さんのお顔が「イケメン」に見えたことがないので、感想は大いにさっ引いて考えてください。
奥様が大変な美人であるのは昔からよく知っているのですが、、、、、
はてなの片隅のここは平野さんに「結界」をはっておきたいと願うのでした。
「40過ぎたら小説は読むな」という賢人の教えを今頃思い出すのだった。ハルキストはえらい。(なんのこっちゃ)