映画「ミュンヘン」を見た。

町山さんの評を読んで前々から気になって、やっと見た。「暴力の連鎖」の空しさが胸に込み上げてくる、
素晴らしい作品だ。こういうものを今「核兵器論議」をやりたがる輩に見せてやりたい。
不条理な死の哀しみが、また憎みあう人間の性が、やるせない。イスラエルも、パレスチナも、
共に加害者でもあり、被害者でもあるとよくわかる。
とか言いながら、すいません、私、実は結婚してはじめて「ミュンヘンオリンピック」の悲劇を知りました。
私が幼児の頃の話なんで、何かの折にダーリンが「君はミュンヘンオリンピックの事件のことを知らないのか!」
と言い、この話は私の「知らなくって呆れられたもの」のベスト2でございます、
ベスト1は何を隠そう「南京大虐殺」です、これは私、「レイプオブナンキン」として聞きました、
海外に行くまで知りませんでした、すいません。(珍しく低姿勢)
ミュンヘンオリンピック」の事件はダーリンが中学生時代で、日本のメディアはなんと
「日本のバレーボールが金メダルをとれなくなる!」なんてこと「だけ」で騒いでいたそうです。
今も昔も日本のマスコミのお気楽さは「伝統芸能」の域ではないかと思ったりして。
ダーリンに聞いて初めて知ったのですが、ミュンヘンオリンピック、中止にならなかったのですね、なんとまあ。
あんなにも沢山の人がなくなられたのに続けたのですか、今、現在の感覚からすると信じられませんが、
背景に世界的に情勢が不安定で、そんなことに構っちゃいられねえ、って言うことだったのかも
(ダーリンは「ドイツ人は勤勉だから」だと言ってます)。なんかショック。
生憎「ダッカ」(だったか?)の事件も浅間山荘もほとんど知らなくて、中学生時代、三島由紀夫
読んでたおかげでかろうじて彼の自決は知ってるけど、現代史に大変うとくて、最近しみじみ反省してます。
現代史に否応なく向き合わされたのはイングランドに行って、「君は天安門事件の時、何をしていた」と、
とある学生に聞かれたのが初めてでした。「日本の学生は何をしている」と言われて、
「なんなんだ、この政治熱は!」と退くノンポリお気楽女子学生、その当時から考えたら
ジベタリアン」を経て「靖国」に関心が向かう日本の学生も「成長」しているのかな?
ミュンヘン」事件の詳細を知りたくなって図書館に行ったけど検索の仕方が悪かったのか
マイケルバーゾーハーの「ミュンヘン」しか見つけられなかった。ついでなんで「南京大虐殺」関連の
コーナーも見ると、あるわあるわ、なんなんだ、この資料の偏りは、ってくらい沢山見つける。
とりあえず、パラパラ見て何となく信用のおけそうな、大月書店「資料、ドイツ外交官の見た南京事件
(編集、翻訳、石田勇治、編集協力、笠原十九司、吉田裕)を借りる。
笠原十九司の名前を聞いたような気がしたのでネットで見ると案の定、くそみそにけなす
南京大虐殺はなかった」派を見つけたので笠原先生を全面的に信頼することを即決する(安易)、
こういう他人を罵倒するヒステリックなところを読んで、「南京大虐殺はなかった」なんて信じる人っているのかね、
私はうさんくさく思えるけど。
ミュンヘン」は「ミュンヘン事件」で亡くなられた11人の人も、またテロリスト達も、
同じくらい哀れで、平和や、命のあり方について考えさせられるいい映画でした。重い映画ですが、お勧めです。
教育基本法、「教基法」って言うそうですが「狂気法」と出てしまう、ううっ、暗い予感、、
今日、衆院通過予定、ですな。