読書メモ。桜玉吉「日々我人間 2」

桜玉吉先生の「日々我人間 2」、これは1巻と同じく横長で箱入り。

レイアウトが小洒落ているのになんと900円(プラス税)。お安い。

文藝春秋に玉吉先生ファンがいるんだろうか、

書籍化も大変丁寧にお仕事をされている印象。

内容は玉吉先生の優雅な日常(?)を

いまや死語となった「ペーソス」を含ませながら淡々と描く。

今書庫から第1巻を漁って来たが、「1巻」と銘打ってなかったので

「2巻」があるとは誰も思ってなかったのかね?

どんどん「第3巻」「第4巻」と続けていただきたい。

とりあえず第1巻ではまだ玉吉先生は漫喫住いで、

そうか、そうだったか、と感慨深い。

そこからの脱出は「におい」からの逃走であったな、

良かったよ、早めに脱出して。

今、漫喫で微妙な高齢者がごろごろしてたら、すぐコロナにやられそうだしな。

と、どうでもよいことを書いてみる私。

玉吉先生の今回の巻で印象に残ったのは、

「年に3回」くらいあるという

「気温も湿度もすべてが自分としっくり来る日」の表現。

あーそういや、そういうの、確かにあるわ、

でもそれを言葉にすることは私にはない。

これが作家の「感性」と言うものか、と感心した。

あと、玄関に設置した監視カメラをなにげにチェックすると

見ず知らずの人間が夜中に玉吉先生の郵便物(?)チェックしていた画像、

わー、これはめっちゃ怖い、怖いから我が家は監視カメラ設置はやめておこう、

なんて考えちゃったわ。実はたまに郵便物が届かないことがある。

しかし知らないなら知らないでそのままやり過ごしたい。

うっかり「犯人探し」はするもんじゃないかも。

それから昨年の京都のあのひどい放火事件を

「描いた絵を動かす実作業をしている人なんて善人しかいないのに」と、

こういう悼み方が出来るのは同じ「モノ・かく・ひと」ならではだろう。

すべてが味わい深い玉吉先生ワールド。

私と同世代の中高年にしみること、間違いなし。

お勧めで☆5つ、ざんす。おわり。