日野氏の件。

日野氏の件がテレビバラエティーにまで話題にされているのを知ってびっくり。
ローカルな事件なのに、テレビでも扱うようなことか、と思うが、これがネット社会か。
かの件をはてなのホットエントリで見たときに思い出したのが、某バイオリニストの「ゲーム機バキバキ事件」、
楽家は体育会系ですなあ、と苦笑い。どちらもネットで非難が広まった経緯がよく似ている。
体罰がよくないことは当然のこととして、私がこの手の非難を見て思うのは、
真剣に子育てして、思わず手が出てしまった経験がない人ばかりなのかと言うことで、
ついやりすぎた、とか、対応がうまくなかった、は親をやっていればいつでもある。
いつでも間違えずに「親」をやるなんてことは至難の業。子育ては親の仕事ではあるけれど、仕事で一度も失敗しない人はいない。
失敗しながら学んで行くのも親子関係、その感覚がこれほど欠落した時代に生きていることに私はあらためて驚かされる。
こんなにも「許されないこと!」と取り上げるべきなのかな?
かの動画はその部分だけを切り取れば日野氏の行為は信じがたい。
しかし諸々の事情を鑑みればそういう対応もあの場では「あり」だったと感じなくもない。
本来はほかにまわすべきパートをいつまでもやめなかったのは中学生の行為として少々異常だ。
かの中学生は自分の独占ライブに合わせるように仲間を煽ったらしいが、それにあわせた仲間がほとんどいなかったことを思うと、
その場の仲間からどう思われているか、そして今後どう思われていくか、が心配になる。
私は日野氏もそれを案じたのかもしれないと今は考えている。
穏便にことを収めてしまうと、かの中学生に対する不満が暴発するのではないか、かの中学生が音楽から弾かれるのではないか、
指導者からやられすぎるとことで、いったん周囲の彼への憤懣を分散させることを日野氏は狙ったんではないか、
私は日野氏を責めすぎると、独占ライブを無理やり行った中学生が集団から非難されてしまう気がする。
「あいつとはもうやってられない!」が続出してもおかしくない件だと思う。
かの中学生はインタビューに答えて「気持ちよかった」と、
周囲の状況を全く考慮せず、自分の「気持ちよさ」を優先してしまう中学生とは、これまた育てにくそうな、
日野氏だけではなく、彼の親御さんに対して私は同じ親として同情してしまう。
決して悪い子ではないだろうが、集団から弾かれてしまう、そうならないように丹念に矯正を重ねるのは、親だけでは至難の業だ。
多くの人が彼にかかわって、育てていくべきだろうと思う。
「思わず手が出る」はこれほどの非難を浴びなくてもよいことだと私は考えている。
「ゲーム機バキバキ事件」でもそうだが、やりすぎる子供には保護者もやりすぎる対応でしか、
子ども自身が「やりすぎた!」を認識させられない場合も多々ある。
親も子も、ともに反省するやり方もあっていいんじゃないか。
子育てはある場面ではほとんど「反射神経」が求められることもある。
その意味でなかなか音楽家は反射神経が良いな、なんて考えるいい加減な親を私はやってきて、
私の子供たちは申し分ない大人に育ってくれたりするのでありがたいものだ。
娘と私を育ててくれた世界に心から感謝している。
日野氏を責める人間は一度として仕事を失敗したことがない人たちばかりなんだろうか?
まずい対応もまた教育として取り込まれる寛容な社会であることを強く望む。