今月の「栄養と料理」がすごい。

ここ10年ほど、意識して料理雑誌の1月号を買うようにしている。「おせち」の変遷が面白いので。
はじめは様々な流行料理人の年末年始レシピが面白かったのだけれど、10年前にはあった「クリスマスパーティ料理」がここ3年ほど派手にやらなくなり、
おせちもだんだんと人数が少なくなり、と、「少子高齢化もここにまで!」と感慨深い。
それでもやはり料理は「誰かとともに」が主眼となっていて、特に年末年始は「家族!」「カップル!!」と殊更に「一人ではない!」を強調していたものだが、
今年の「栄養と料理 1月号」は表紙こそ、おせち仕立てになっているものの、タイトルは「ひとり暮らしを楽しもう!」
特集は「ひとり暮らし」、あえてこの時期、その話題を取り上げた「栄養と料理」編集者に幸あれ!と、
なんだかんだで年末年始も「一人」の人は少なからずいるんじゃないのかな、そういう人に焦点を当てるのは偉い!なんて、一人暮らしではない私が言うのはなんだが。
内容的にはさほどのものがあるわけではなく、「一人分のお正月料理」など、特に作って食べる必要はないんじゃないか、
好きなら3日ぐらいカレーを作って食べるとかの提案でもいいような気がするんだが、そこは真面目、「栄養と料理」
あくまで「おせち」を食べさせようとする、「伝統食の火は消さない!」か。
でもねえ、「人」あっての「残したいもの」なんで。人が存在しない世界に残るものは何もないんだよね、少なくとも「意識」は消える。
巻頭には「生活研究科」の阿部絢子氏が自分のお正月を語っていて、この方は「生活アドバイザー」で収納だの整理だのの本を出した人ではあるものの、
家族を持つ人間には少々的外れな提案が多かったので、この度「独身」と知って納得した。整理の仕方は家族持ちと独り者では根本が違う。
しかし、次ページの島崎とみ子氏といい、この世代で独身でいらっしゃる女性にはある種の風格があるな、誇りを持って「一人」でいられる。
ふと、最近特にネットでは「結婚しても子供はいらない、子供なんて無駄」という声をよく聞くが、
年をとって夫婦のどちらかが亡くなった時、たいていは「妻」が残って、その「妻」が死んだ時、「夫」側の全く赤の他人の親族がその「後始末」をしなければいけないという、
「とほほ」な状態を知っているので、こんなふうに「一人で立派に生きてきた!」女性を見るのは清々しいな。
一人では生きられない、でも子供も持ちたくない人間の「後始末」は彼らの言う「こんな世の中に子供を産むなんて信じられない!」中で
なんとか育ってきた人間であったりするのだよ、そういうことを、まだネットは知らないのだよな。
「栄養と料理」では今回、あえてひとりで生きてきた人の後始末の算段も取り上げているので、必見。
「栄養と料理」の今年のこの時期の特集が「エポック・メイキング!」と思ったので、買った。この先の変遷や、いかに。