昨日、書き忘れていたが「ミレニアム」の主人公の一人であるミカエルは
ルースルンドの傑作「熊と踊れ」のモデルとなった事件とかかわった人物として
設定されている。
私は全く知らなかったが、「熊と踊れ」のモデルとなった事件は
スウェーデンでは知らない人がいないほど有名なものらしい。
犯罪小説やドラマによく用いられるようだ。
「パルメ首相暗殺事件」も同じようによく出る。
ヘニング・マンケルのヴァランダーシリーズでもルースルンド作品でも
取り上げられ、現職の首相が暗殺されながら、いまだ犯人が逮捕されていない、
スウェーデンではアメリカのケネディ大統領暗殺事件並みの衝撃事件のようだ。
日本では「北欧、癒し~」などと能天気に持ち上げられるが
実質は社会問題が日本と同じように、それ以上にある国のよう。
ルースルンド作品は、ミステリとしての完成度にむらがあるものの、
「豊かな福祉の国」として売り出しているスウェーデン国内に山ほどある社会問題を
常に提起して考えさせられる。ルースルンド作品にまつわるのは
「刑罰・死刑」問題で、「犯罪者に温情だけを示すのは良いことか、
死刑がないのは社会にとって本当に良いのか」の問いかけを果敢に行っている。
「犯罪者に温情」とは一見聞こえが良いが、実際は国の負担を減らしたい、
別の意味で「福祉」を削っているようなもので
特に小児性犯罪者が簡単に野放しになって子供への被害が繰り返される負担など、
文字通り「(子供の)体で支払う高い税金」とみなしても良いだろう。
「海外ではぁ~」とやたらとネットでは欧米諸国が「パラダイス!」のように
取り上げられがちだが、日本がまだましな部分は山ほどある。
最近ちらほら「中絶薬が高すぎる!」と「レイプ被害者がかわいそう!」を押し立てて
「外資系」の薬屋の広告が出回るのを見かけて、
中絶薬が簡単に安く買える国の治安と女性の強姦率は日本の比ではない。
もっと言えば格差と貧困率も。
安易に買って飲んで「こーんなに素晴らしい!」とする薬では
決して「ない」ことをネットでは全く話題にしない不可思議よ。
「医者が儲けるため!」なんて言説が平気で出て、
市販されて安価で流通すれば薬屋も山ほどもうかる、は出ないのが不思議。
女性が生涯一度も飲まないでいる方が良い薬であるとの認識がないのには
心の底から危機感を覚える。
こういう広告する輩は「売国奴」と言っても良いと私は思うが、
ネットの正義の味方はそうでないようで、
ネットシステムもそもそもが外国製だよな、と独り言つ私であった。
北欧ミステリ雑記は今年はこれでおしまい。