海外ドラマ感想「警視グレイス」

AXNミステリの特集、「最新英国ミステリ」の第3弾。

ジョン・シムという影の薄い俳優が主人公の警視で、

占いの一種「ダウジング」に捜査の証拠品を見てもらうようなことをして

裁判にかけられているところから始まる。

この薄幸そうなジョン・シム氏をどこかで見たことがある、と思ったら、

「ホワイトドラゴン」でアンソニー・ウォン氏に完全に食われていた

英国人主人公じゃないか、

印象に残らない感じが、濃厚なアンソニー・ウォン氏と対照的であった。

今回も「ホワイトドラゴン」同様また妻に去られて、

この方は英国では妻に去られるキャラとして定着しているのか、

マクドナルド・ドッズ」の影の薄いドッズも妻に去られた設定で、

「グレイス警視」も、もうちょっと年をとったら早期退職を促すために

冷房の真下に机を置かれそうな雰囲気がして気弱な男性の典型かね。

「ブランニック警部」も妻は去っていったと最後に出るが、

キャラが濃いので、妻が床下に埋められていそうな感じ。

話を「警視グレイス」に戻して、主人公のキャラは薄いが事件は濃く、

第1話も第2話もえげつない事件の大展開で2時間で治まるのか、

ハラハラしてしたが、てんこ盛り内容の割に最後はあっさりと終わったりして

 主人公に設けられた様々な設定がさほど筋の運びに役に立ってない、

でも主人公が気弱そうでかわいそうなんで受け流さざるをえないかな、

なんておばはんは思ったのでした。

主人公はやたらと「ダウジング」の先生のところに行くが、

推理の役に立ってるとはいいがたく、単に「カウンセリング」を受けている、

そして一応「ダウジング」の先生の言うことは何となくあってる、

占い嫌いの私とは相性の悪いドラマだ。2話で終わりなのは何より。

第1話目では花婿を結婚式前夜の悪乗りで棺の中に閉じ込めた馬鹿連中が

事故でほぼ全員死ぬ、果たして棺の中の花婿はいかに?な話で

花婿はこんな異常なことをしでかす連中となぜ「友達」なのか、

そして最後の最後まで、花婿は友達に全く恵まれていないことがあらわになるので、

それでビジネスで成功しているのはなぜか不可思議すぎて理解できなかった。

花婿が被害者で悲惨な境遇に陥るもののお金の面では大勝ちしているので

友達運はなくても、そういう「棚ぼた」で成功したのかね。

第2話にはブラウン神父に出てくる運転手役の俳優がちょい役で出て

私は彼が好きなのであとでもっと出るかと思えばそれっきり、筋に関係もなく、

また「ライン・オブ・デューティ」で悪役として出ている俳優も参加しているが、

これも悪人ではなく、拍子抜けだった。

話はロシアの傭兵崩れがネットを使って「〇〇の生配信!」をする、

派手な事件のようで、追いかける主人公が薄いので全然、派手に見えない、

なんだかんだ言って、主人公のジョン・シム氏はどれだけえげつないことも

なし崩しに中和する、すごい俳優さんなんじゃないか、という気もしてきた。

存在感のなさが、話の肝になるような、

濃い話を濃い俳優でやったら消化不良になるか、

いまいちジョン・シム氏の魅力はよくわからないが、

カゲロウのようにはかなげな存在感のなさでドラマを支配するのはえらい、

と思ったのでした。

ちなみに、ダウジングの先生に証拠品を持っていくのは

さすがに「有罪!」となっておりました。

「警視グレイス」は「警視監グレイス」になってハンプシャーに行くようなんで

やはり続編があるのかしら。英国の警察機構はどうなっているのか不思議。おわり。