イマドキ、結婚。

上の娘が今度出席する結婚式は高校時代の同級生で
私も良く知っている、娘の知り合いの中では珍しく異性に積極的なかわいらしい友達で
いまどきらしく結婚願望が強く、学生時代につきあっていた都内出身の元彼と
大学卒業と同時に結婚するつもりで上京して就職したけれど、
彼女が熱心なほど元彼は結婚に積極的ではなかったようで、破局
「私は結婚するために東京まで来た!」と別れて3日後に街コンで出会った相手と入籍を決め
とりあえず結婚は「出来た」のでよかったかな、と娘も私も思うものの、
入籍がかなり強引なやり方だったようで、娘は前の件から考えても「続くのか?」と不安に思っている。
「式はいつになるかわからない、お金を貯める」と言ってたので、
万が一失敗となっても、式さえしていなければ多くの人に知られずに済む、と娘は考えていたけれど
急に「やっぱり式をする!」と、どうも彼女は結婚とは周囲に知らしめてこそ結婚である、の認識らしい。
式のお金はお祝い金でまかなう、と言うか、出席者への礼儀は極力削って「式で儲ける」と、
出席を打診した相手にそのようなことを言う程度に「マリッジハイ」なのはしかたがないことなのか、
式は地元でも都内でもない遠方で行うので、娘は出席できないと返事をしたのに
高校時代の別の同級生からある日電話がかかり「(友達の名前)さんの結婚式でスピーチするって本当?」と、
スピーチどころか、出席すら断ったはずなのにそう吹聴されているらしく、
「(娘の名前)ちゃんが行くなら私も行くって言ったんだけど、私はなぜかもう受付をすることに決まってて、、」と、
娘が「行く」と言えば出席する同級生は何人かいて、彼女ははじめからそれを狙っていたようだ。
驚愕した娘が本人に電話したところ「やってくれるでしょ?」「もうみんなに言ったし」と、
しかたがなく出席することになって、
娘曰く「たぶん、私以外まともなスピーチをしてくれる知り合いがいないの、友達がいないから」と、
高校時代から「自分が一番!」でなければ気がすまないので、
入学当時は華やかなグループに属していたが仲間の彼氏や好きな男の子を散々食い散らかして、
グループから追い出されクラスから孤立、見かねた担任が面倒を見るように委員長だった娘に頼んできて、
それからのつき合いなので、娘のグループの友達からは「友達か?」の認識らしい。
娘のグループはおとなしく、彼女が全精力をかたむけて「落とす」ほどの彼氏を持つ子もいなかったので、
トラブルはなかったが、大学で再び「人の彼氏が欲しい病」が発症したようで、
式に呼べるような学生時代の友達は一人もいないらしい。
うっかり娘以外の誰かにスピーチを頼んで引き受けてもらったとしても
いやみたっぷりの暴露スピーチを散々やられてしまう可能性・大だとか。
委員長気質が抜けないうちの娘しか信用できないようだ。
こうして書くと「困った」女の子だけれど、憎めない部分も大いにあって、
それはどこかと言えば正直に自分がしてきたことを娘に告白する点で、
「式に来てくれる大学の友達がいない」も「あんた以外だったらなにをスピーチされるかわからない」も彼女の言葉。
自分がしでかしてきたことへの認識はちゃんとあったりして、
私は娘同様、彼女には幸せになって欲しいと心から願っている。
彼女が「高校時代の誰よりも早くに結婚が出来た!」に「ステイタス」を見出しているらしく、
さほど親しくもない人間さえもかき集めて結婚を周囲に知らしめるためのありとあらゆる画策には舌を巻く。
こうして「今」の自分が「欲しい」と思ったものを確実に手にする人間はすごい、と感心している。
ただ、この手の人のいわゆる「テクニック」はあまり一般には役にたたないだろうな、と思う。
彼女は今までもありとあらゆる「男を落とすテクニック」を娘と友達にご教授してくれているが、
彼女の方式は彼女にしか当てはまらないものなので、採用する人はいない。
彼女の不幸は今のところ、そこだけかな?
そういえば、娘がしぶしぶ出席する返事をしたときに、彼女がちらりと言ったのは、
「これで(娘の名前)ちゃんの結婚式には呼んでもらえる!」と、それを聞いて切なくなった。
うちの娘はよく結婚式に呼ばれ、スピーチをお願いされている。
でも彼女はまだ一度も自分の親族以外の結婚式に招かれたことがない。
娘は「また結婚式」とぶつぶつ言うが、招かれるとはありがたいことだと私はしみじみ。
イマドキ・結婚とはなかなか昔とは風情が違っている気がするのでした。終わり。