ほんの感想「れもん、うむもん!」

副題が「そして、ママになる」
「ヅッカヅカ」「れもん、よむもん」など、今「好き!」を描かせたらこの人の右に出る人はいないんじゃないか、のはるな檸檬さんの新刊。
主に彼女の産前・産後の「うつ」のお話。
私のころは(20年以上前)やっと「マタニティーブルー」の言葉が出た時期だったかな。
それでも「ブルー」なんてお気楽な「色」で示されるもんだから「ただのわがまま」扱いだったわ、本当はかなり危険な兆候なのにね。
可愛い絵柄でやわらげられてはいるものの、檸檬さんの「うつ」は激しいものだったよう。
退院後に1ヶ月、手伝ってもらう予定だったご実家のお母様を3日で帰らせたとは、
「手伝ってもらって体を休めなきゃ、いけないでしょー!」と私が悲鳴。
幸い、ご夫君の協力あってなんとか乗り切るうちに、すっと「産後うつ」から抜け出られたよう。
ただひたすら育児に集中したのがよかったのかも。荒療治に思えるけれど。
はるなさんのような繊細な「アーティスト」は敏感であるがために、体の変化は一般女子よりきついのかもしれない。
彼女が切々と脅すほど、一般人は妊娠、出産は恐れなくていいような。
私が気になったのは、産後に彼女の体をいたわったのが義妹一人であったように受け取れること。
娘たちを産んだ20年以上前はお見舞いに来てくれた人はほとんどみんな子供より私のほうをいたわってくれた。
「よくがんばったね」「体、大丈夫?」とか、子供時代から体が弱いと思われてきた私だからなのか、それとも恵まれた環境にいたのか、
「赤ちゃん、可愛い!」といってたのは義母だけだったような、「自分を大事にして」が周囲から一番多くかけられた言葉だった。
それがはるなさんの本ではあまり感じられなかったので、さては最近少子化になって「産む」という行為が「完全選択性」「自己責任」とされているせいだろうか?
なんて下手な勘繰りをしてしまった。「覚悟は当然みんな出来てるよね?」ってな感じなのかな?
それともはるなさんの記憶が途切れているだけか。
出産後、一番いたわってあげないといけないのは、まずなりたてほやほやの「母親」でしょう?と、言いたい。
漫画に描かれた実家からお手伝いに来たお母様の行動も、私には信じがたかった。
「出産後、へとへとになってる娘が寝るベッドになんであんたが寝転がるのよ?」と思うのは、私がまだ若いからか?
私の周りにはこういう人はいないなあ。
ただ、「うつ」状態の娘は、お母様も手に負えなかったんだろう。産後の娘との関係は難しいとはよく聞く。
特に家をでて10年以上たった子供など、もう赤の他人としてあつかったほうがいいんじゃないか、
そういう前知識がお母様にはなかったのか、あるいは「初孫」に舞い上がりまくっていたのか。
ここ数年、「花嫁の母は2度死ぬ」の言葉にどきどきする私ははるなさんとお母様とのやり取りをしっかり覚えておこうと心に誓った。
ま、こうも面倒くさくなる前に早めに子供を生んでね、なんて娘に願う私。はるなさん、ごめんね。
この漫画は最近創刊された「ROLA」という女性雑誌に連載されていたようで、
昨日その雑誌を立ち読みしてみると、なんとホリエモン氏とはあちゅう氏が「スィーツ」対談をしていた。
あらまー。ネットと既存メディアの野合、なんて言葉が浮かぶ私。ネットに毒されているわぁ。
はるなさんの本は暗いので、もし出産が完全に「スィート」なものでしかないと信じている人がいたらおすすめ。
私が出産適齢期なら、出産後に読むかな。あまり産前に読みたい気はしなかった。産後に「あるある」で読んで欲しい本。でした。