「私って、若く見えるでしょ?」

というやる気満々の50代の知り合いがいて、それを初めてやられたのがまだ私がギリギリ30代の頃、
「私って、いくつに見える?」と、その時も、私よりははるかに上だろうと踏んではいたものの、
社交儀礼としてやや若目に見積もって年齢を言ったところ、ほぼそれが当たっていて、一瞬「イラっ」とした表情を見せて、
すぐ立ち直り、「あなたとほとんど変わらないように思われるのよ」と言われたときは、私はこんなに老けて見えるのかー!と
かなりショックを受けたものだったが、最近、たまにあってもやられるので、どうやらいつから私と知り合いで、
何度も同じことをやっているにも関わらず、聞いたことを忘れる、そして相手が自分の年齢を知っていることも忘れる、という
認知症でも患い始めているんじゃないか、などと思いつつ、私も年をとったな、相手に合わせて同じことを何度でもやってあげる、
私もそろそろぼけたのか、と思う今日このごろ、ふと、中高年の「私って若く見えるでしょ」というのは、認識が進まない、ということなんじゃないか、と気がついた。
たいていの今の40〜50代の人間が子供だった頃の40〜50代というのは、今よりもはるかに「老け」ていて、
それから比べれば、確かに私世代は「若く」見える、でも、現実に「若い」世代にとって、「今」の40〜50代が「現実」の40〜50代で、それ以外を知らない、
だから中高年が「私って若く見える!」と思っていても、実際の若者にとってはもう50前後のおばちゃんでしかないわけで、
それに気が付けない中高年って結構多いよな、と、
子どもが減って、子供に接する機会が減ったせいもあるんだろうな、などと一瞬考えたものの、
それを言ってくる知り合いは、子供はいないものの、確かさる楽器の先生をしていて、ほんとに若い世代と関係する機会は私よりは多いはずなので、
やはり「認知症」か、それとも悲しきナルシシズムなのか、「若く見える」と思い込むことに私はなぜもの悲しさを感じるのか、
なんにしても、ピカピカに若い娘たちの顔を見ていると、この子達が中高年になった時、「中高年」にどんなイメージを持っているか、
まあ、多分、我が娘たちはなんのイメージもなく、さほど「若く見える!」に重きをおかず、あくせくしているだろう、と思ったのでした。
でも、それが人生の「正解」だと思うわ、「若く見える!」とは実際には「もう若くない」を宣言して歩くのだと、気がつかないのは幸せなんだろうかねえ、、