ル・カレを読む。

「ティンカー・テイラー」でハマって以来、ずっと読み続けている、「ル・カレ」
私はもともとディケンズのような大衆小説が好きで、「ル・カレ」はその流れを汲んでいるんだろうと思っていたら
まんまの作品に大当たり。
今読んでいる「パーフェクト・スパイ」は一部がディケンズの「デイヴィッド・コパーフィールド」のような自叙伝スタイルで
かつ、「大いなる遺産」を思わせる謎めいた内容がなんとも。
「大いなる遺産」の主人公は「ピップ」で、「パーフェクト・スパイ」の主人公は「ピム」、
英文で読めばもっとその類似性は発見できるんだろう、これは海外サイトを読み漁ってみるべきか。
不幸で不安定な幼少期を送るテーマはディケンズには多く出てくるので(ディケンズ自身が幼少期、不幸であった)
さぞやかつての「ル・カレ」少年は涙を流しながらディケンズを貪り読んだことだろう、
小説家って古今東西を問わず、不幸ね。(涙)
しかし、私も子供の頃の幸福な記憶はひとりでいる時だったので、幸せな幼年期が想像できないなあ、これが人間の不幸か。
それはともかく、ディケンズの登場人物のような父親が出てきて、「荒涼館」のスキムポールか、ターヴィードロップか、
あるいは「デイヴィッド・コパーフィールド」のミコーバーか、
読みようによっては面白いが、こういう父親を持つ子供の災難は計りしれない、いやー、自分と重ねてしまうわぁ。
生きていくためには早めに大人にならなければならない、それを永遠の不幸と捉えるべきかどうか。
私は心理学者や精神科医はよほど恵まれた環境で育った人間なのだろうとつねづね感じるので、
もし永遠の不幸と彼らが言うのなら、それはやはりただの寝言、世間知らずの戯言、とみなしておこう。
ル・カレの「パーフェクト・スパイ」はまだ読み終えていないので感想は後日。
いろいろいそがしいのでネットは明日からしばらく(多分年明けまで)お休み。