芋畑を思う。

大坂の芋掘り事件が話題だ。
行政執行で子どもの畑を掘り返したのは確かにひどい。でも大人がもみ合う姿を子どもに見せるべきではない。
与えるべきものとまだ与えてはいけないものを考えながら子どもに接するのが「育てる」ということだ。
何かをわからせるために「見せる」のも段階があるだろう。
いいものも悪いものも子どもには与えるべきの意見はわかる、しかしあの状況は子供の理解を超えて遙かに複雑だ。
あの場で直接子どもたちの畑を壊した人たちが「悪人」というわけではない。
彼らもある意味「被害者」だ、決して子どもたちの呆然とした姿の前で、喜んで畑を掘り返したわけではないだろう。
今回のことで子どもに何かを「教える」つもりなら、行政側にいた彼らの気の毒な状況も教えなければいけない。
でもそれを畑を壊す姿を見た子どもたちに理解できるだろうか?
直接手を下した人を憎まずにいるのは大人以上に強い感情を持つ子供には難しいだろう。
子どもに見せる場面であるかどうか、離婚する夫婦の子どもでたとえたならば、夫婦がお互いを罵りあう権利はある、
が、その子どもにはそんな親の姿を見ない権利もある。
どのみち両親が離婚して様々不便を強いられるのは子どもだ、その不愉快以上に子どもに醜い争いを見せる必要はない。
畑を守る側の人たちは憤懣やるかたなく仕方がないとは思うが、子どもに見せるにはあまりに感情的すぎ、しかも「無力」だった。
結局畑はすっかり失われてしまった。
私はこのニュースを家事をしながら聞いて、画面を見ていなかったから子どもがその場にいたのは知らなかった。
ネットで子供もいたと知って、園側をやり過ぎと思わずにはいられなかった。
色々拾い読んで行政側のやり方が悪いとよくわかったが、私のようにテレビでちらりと見ただけでは、
「保育園側も悪い」と思う人が多いんじゃないか。これが「テレビ」の怖さだ、その事情が画面だけではわからない。
このニュースを見た、私同様読み取り能力のない、くだらない突撃が大好きなウヨ系阿呆が「「プロ市民」保育園だー!!」と、
保育園に嫌がらせをするのではないか心配だ、
「左翼思想から子どもを守れ!」なんてわけのわからない発想をする人間はネットじゃなくても山ほどいる。
そんなバカにつけ込まれないためにも園側はもっと慎重であって欲しかった。
なんにしてもあまりにも早く個人の「無力」を知らされた子どもたちのことを悲しく思う。