タマネギは、お好き?

タマネギは大事な食材です。
特にスープをとるときに優しい味わいのタマネギは必要不可欠なもので
たかがタマネギ、されどタマネギ、としみじみと感じさせてくれるでしょう、
年中、台所の隅に転がっていても大事なメンバーの一つであることは間違いのない事実です。
でもタマネギはしょっちゅうそこら辺でごろごろしているので中には腐ってしまうものも出てきます。
腐ったタマネギは他のものもそうであるようになんの使い物にもなりません、
こういうものはさっさと捨てるに限ります。
しかし世の中には腐ったタマネギに気がつかない人間も存在します。腐ったもののにおいがわからない、
それどころか、腐った「タマネギ」であることすらわからない人間がいます。
タマネギはタマネギであって決して「肉」ではありません、
メインディッシュになるものではないのですが、肉を食べたことのない人間にとっては
腐ったタマネギが肉に見えてしまうのでしょう。大変気の毒です。
でも本人がタマネギと気がつかずに肉と信じるのならそれはそれで幸せなことです。
また、世間には腐ったタマネギを気がつかずに食べても、あたる心配のない丈夫な人もいます。
腐ったタマネギでも消化できる元気な胃袋、これからの世界では必要な鈍感力です。
さて、世界は混迷を極め、「このタマネギは腐ってる!」とわかっていても、
どうしても口にせねばならない時が来るかもしれません。
その場合、出来る限り腐ったタマネギの毒にあたらないようによく焼くとか、
あるいは腐った部分は捨ててなんとか食べられそうなところだけを取り出して口にする、
私はそういう知恵を子供に授けたいと思っています。
ふと、さるところで腐ったたまねぎの独特のにおいをかいだので何故か元気になりました。
腐ったタマネギは私には気付けのかわりになるのかもしれません。
泉昌之の「夜行」という漫画をご存じでしょうか?列車の中で弁当の中身をを食べる順番を算段する
孤独な男の話ですが、最後まで肉と信じて残しておいた揚げ物が、実はオニオンフライであったという
もの悲しいオチで終わります。
腐ったタマネギを肉と思いこんで食べる人は、きっとこのやるせなさを知らずにすむんでしょうなあ、、
うらやましい気もしますが、私は油衣をつけていようとタマネギはタマネギとわかる人間なんで
その方がずっといい、と強がるのでした。
油を吸ってもタマネギはタマネギです、それがいいとか悪いとか、格別何か言うつもりはありません。
私はお肉が好きです。