丸山真男、回顧談を読み終えた。

大変面白かった。で終わらせてしまってはまたいつかろくでもないこととチャンポンにしてでてくるだろうから、
とりあえず気になったことを。
戦前でも「右」「左」の「概念」、と言うか「定義」が曖昧であるかのように思われた。
例えば私はごく最近まで二二六事件と北一輝がどうにも結びつかなくて
(まー、勉強不足とイメージ先行のせいですが)ああ、右なの?左なの?わからないぞっ!!
と弱いアタマを悩ませてたんで、ま、社会改革、変革を望んだと、決して「憂国」と言えど、
馬鹿「愛国心」でトンデモな連中ではなかったと、思ってあげようかな、
(とかいいながら、やっぱり人を問答無用で殺すような連中は許しがたい、これはやっぱり嫌だ)
もちょっと、調べて判断は保留、で、つまり昔ですら「左翼」「右翼」は言葉が一人歩きしていたような印象を
ちらっとうけた。私は丸山真男を読んでみようと思ったのは最近の「右派」とされる人たちが
丸山真男を根拠にしていると読んだからで
(一体どこで読んだんだぁー!思い出せんぞ、小熊英二さんの本だったか?間違ってたらごめん)
ネットをはじめて以来私のような考え方の人間を「ブサヨク」とされることに驚きもして、
でも私の考え方の基礎的なものは丸山真男の影響がある、とずっと思ってたんで、えぇえぇえぇぇー、
そんなッ、あんな連中と同じにされたくない、と、そのような差別的考え方から、きちんと読んでみたくなった。
で、まだ第1弾にも入ってないんだが、少なくとも、丸山真男は今の「平和憲法」を評価していたのではないか思った。
下巻、サンフランシスコ講話、朝鮮戦争、60年安保の「平和問題談話会の出発」のp228
『「普通の国家」論で言えば軍備のない国家はないんだけれども、憲法第9条と言うものが契機になって
一つの新しい国家概念、つまり軍事的国防力と言うものを持たない国家が出来た、と考え得るんじゃないか』と、
左派の民放専攻、磯田氏と議論した、とあった。ここでも「左派」の
「軍備のない国家はない、軍備がないと言うのはおかしい」の意見を読む。もうあんまり驚かなくなったけど。
私はあまりに戦後を知らなさ過ぎるよなあ、反省している。てか、暗黒世界なんだよ、私世代でさえ
もう間に合いません、スッとばします、なんでこれ幸いと勉強してない、いけませんねえ、教養の問題ですー、、
他幾つか面白かったのは福沢諭吉の評価について、どうにも胡散臭いオヤジだ、のイメージがあるんで
その著作を読んだことがないがこれも読むべきなのかな、と、あと、フィヒテも、それからルソー
(これも私のいいかげんな記憶でろくでなしの「ラベル」が、、)
『ルソーは相互コミュニケーションに対して否定的なのです』(下巻p295)
『一人一人が特殊意志を純粋に表明していく。そうするとプラスマイナスが相殺された結果として
一般意志がでて来るのです。純粋に表明する前になまじっか妥協したり、交渉したりすると、これはいけない。
そこから党派の否定がでてくるのです』の解釈、全体意志と一般意志、特殊意志、の意味がよくわからんが、
なんか、へエー、と、「自然主義」のルソーを「諸悪の根源箱」から出してくることにしよう、わはは。
明治維新をゼロと言うか起点と言うか、そういう考え方をするんだなと、改めて知った。
それから、丸山真男の東大法学部に対する愛着と責任感、「教育」に対して持った情熱が素晴らしい。
この世代の人は日本の「国」のために人を作る、の思想を持っているんだな、国への「理想」を
今の教育者、東大の先生方にあるのかな?もしまだあるなら日本の国の未来は悪くないと思いたくなった。
私のまわりの旧帝大生達はお勉強が好き、と言うだけの人なんだけれど。(しかも理系)
お勉強が好きなのと国の未来は関係するかね。もっぱら自分の趣味にだけ使っている気もするんだが。
丸山真男にもどって、可愛いエピソードだったのが大学卒業後すぐ結婚した教え子の式に出て
「高い壇の上で新郎新婦がキスをして、みんなが拍手するんです。ぼくは呆然としてね、
よくもまあハレンチな、と思いました」(p228)うーん、純情可憐、こういう人って好きだなあ。
大学を退いたことについて、学生を評価できなくなった、みたいなことを書いていたのも印象的だ。
理解できなくなった、と。「ある時からぼくには学生を見る目がなくなった」
「人間予測の力がなくなったと感じることが多くなった」とは、自分に随分厳しい。
国のための精鋭を作る、とはこういうことなのかな。
知らないことが多過ぎて、もっと読んでからまた読み返すことにしようと思う。
しかし三木清とか中野好夫とか、なつかしい名前やなんで私この人知ってるのか、いまだに定かではない
「岡義武」(だったか?)とか、このいいかげんな記憶どうにかならんもんか、
やっぱりねー、読書日記はちゃんとつけよう、と思うのでした。
知らないことが沢山あるのは老後の楽しみがあって嬉しい、とあくまで脳天気。おしまい。