丸山真男の思い出。

「ことしは丸山真男イヤーだ!」とか言いながらこのあいだ図書館で丸山真男全集のあまりの壮大さに素通りして
ついKAWADE道の手帖丸山真男を借りてお茶を濁す私、、一年で全部読むのは無理よ、
ここ数年を丸山真男イヤーと言う事にしなきゃ、って急遽「丸山真男5カ年計画」を立ち上げる(予定)。
KAWADEは冒頭のインタビューが小熊英二さんで、おお、相変わらず端然としたやさしい言葉遣いで
さっくりやってますこと。それからリクエストするまでもなく丸山真男回顧談上下巻が入っていたので借りた。
上巻は予約した時は貸し出し中だったけど、下巻があるはずなのに、ない。図書館の人に言って
連絡があった時も聞いたけどまだ見つからないそう、うーん、下巻だけを持って帰る人がいるのか?
すぐ読めてしまいそうなんでなんとか下巻の発見を!
最近丸山真男の名前をよく聞くので人気のある人だったんだなあ、と感心する。
よく考えてみればアホな女子高校生だった私でさえ読んだんだからものすごいビッグネームだったのは間違いない。
読んでる人が難しげな人たちばかりなんでここはひとつ単なるおばはんである私が再びじっくり読んで
「おばはんにでも良くわかる丸山真男」というのをやらないとね、ふふふのふ。(もうあるかな?)
丸山真男との出会いは、以前にも書いた私の父親の文章のファンであると称する女性国語教師が
小林秀雄風の文章を書く父親のまねをさせようと無理矢理に小林を読ませまくった事からはじまる。
(注、私の父親は別に文筆家ではなく単なる地方で同人誌の世話をやってただけの人である、
無駄に風采がいいのが災いして妙にオバハン国語教師にうけが良かった)私はこのオバハンが嫌で嫌で、
何を書いても「これちょっと違うのよねえ、書き直してくれるゥ?」なんてこの変わり者の国語教師は
自分のめがねにかなった生徒にこういう事をしまくるので有名で今年の犠牲者は私、みたいになって、
他の先生もわかってるんだけど、その先生は口を出されると泣きわめく困ったくせがあったんで、
皆見て見ぬふりする。でも書いたものを持って毎日のように職員室に行ってはくそみそにいわれて
涙ぐんで帰る私を憐れんだのか、親切にしてくれる先生は多かった。そんな一人が現代社会を教えている
「自分は左翼だ」と称する早稲田卒の先生で、この人が私に丸山真男を紹介してくれた。
高校生向けに書かれたものか、或いは講演会の書き出しか「不作為の責任」についてやさしく書かれたもので
わかりもしない小林秀雄の凝りに凝った言葉遣いの妙技をなんとか読みとこうと無駄な努力を試みる私には
まるで福音のように思えたものだ。それから多分評論集か、有名な本を2冊ぐらい読んで、
わかったつもりになっていたが、今、読んだ本のタイトルさえ覚えていない。(ワハハ)
丸山真男が契機になったかどうか、定かではないが、とりあえず、私はオバハン国語教師に
こんな事やってられっか、と反旗を翻し、書くのをやめた。テメーの気に入るもんなんか書けないし
書く気もねえよっと先生に宣言し、すっとした。あとで私の父親のところにねちねち文句を言いに行ったようだが、
父はブスなおばはんより美少女(ぬけぬけ)の娘を信じる人なので問題無し。
父は私が丸山真男を読んでいると「この人は右翼だ」とちょっとこまった顔をした。
「左翼だ」宣言をした先生が貸してくれた右翼の本、なんだか丸山真男は私の中でずっと不思議な存在だ。
てなわけで今度は岩波のあの一巻を借りてくるかな。あの時の怒りっぽいけどやさしかった現社の先生ありがとう。
ついでにそのうち小林秀雄も読み返すがオバハン先生、あんたにはやっぱり礼はいわねーよっ!
ちなみにうちの父に吉本隆明の本ある?と聞くと布張りの古い本を大事そうに出してきた。
うへー、父ちゃんの手垢がついて怨念がこもってそうなんで(実際万年筆で書き込みとかしてある)
借りるのはやめた。父ちゃんはそういう人なんだけど娘が丸山真男を読むのを止めなかった。
なに読んでても止める人ではなかったのを今は感謝している。
(でも中学生の娘が「なんとなくクリスタル」を読むのも放っておいたのはちょっとね。)
かとうかずこの元旦那、そのまんま東が知事当選。既存の政治家なんかにもう期待がないんだなあ、、